火災現場での人命検索

火災建物内に人が取り残されている!!
こうなると消火作業に優先して人命救助に切り替えなくてはいけません。
人が中に取り残されるくらいですから中は濃煙で視界は全く無い暗黒の世界で す。
行く手では炎が吹き出して隊員に襲いかかるかもしれません。
でも私達はその中に飛び込んでいかなくてはならないのです。
消防学校で一通り訓練をするとはいえ、とても恐いことです。


中に人が取り残されている事が確認されると、水が出ているホースを1本残し て他の隊員は進入準備をします。
水が出ているホースを持っている隊員は噴霧注水で中に大量の水と同時に空気 を送り込んで、出来るだけ煙を押し出します。

進入組は2人1組になってお互いの体を2メートルほどのロープで繋ぎます。
更にその2人組みに別の長いロープを繋ぎ、別の隊員が外でそのロープを持っ て待機します。

空気ボンベを背負ってマスクを掛けると、ほとんど声は聞き取れなくなります 。
視界も声も届かない煙の中では外と中を繋ぐロープが唯一の意思伝達の手段で あり、命綱です。もし中でアクシデントが起きて中の隊員が動けなくなった場合 は、可能ならそのロープで隊員を引きずり出す事が出来ます。

進入組の2人は低い姿勢になって、お互いの体を繋いでいるロープの範囲で手 探りで探しながら濃煙の中に進入していきます。
煙の中に入った途端、視界は無くなり、恐怖感が襲ってきます。
手には検索棒という光る棒を持ち、人の体に当たる感触を探りながらゆっくり 進んでいきます。
逃げ遅れた人は廊下の突き当たりやトイレ、浴室、ベランダの近く、階段の所 等にいることが多いので、その辺を重点的に調べていきます。
上手く発見できた場合は外に伸びているロープを数回引いて外の隊員に発見し たことを知らせます。そして2人で要救助者(助けられる人)の襟首をつかんで ロープを頼りにズルズルと引きずって脱出します。
もし、中に入っている隊員が身の危険を感じたり、外にいる隊長が危険と判断 すればロープで相手に伝えて撤退します。

私達の田舎ではこんな場面に遭遇することはほとんどありませんが、100パ ーセント無いとは言い切れません。
その時が来たら適切な判断が下せるよう、日頃から訓練しなくてはなりません ね。


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