消火活動中に注意している点

屋根の踏み抜き
ある程度火の勢いが収まると再燃防止のために徹底的に火種を消しに掛かりま す。
その時よく屋根に登ってトタンを剥がしに掛かるのですが、火災により構造材 がすっかり燃え落ちてしまってトタンだけが何もなかったように残っている場合 が多々あります。
よく注意して歩かないと突然屋根を踏み抜いて1階まで落下してしまう恐れが あります。20キロ近い装備を背負って高さ7、8メートルから落下するわけで すから只では済まないですよね。


モルタル壁の落下
火災で外壁が脆くなっているので、モルタル壁が落下する場合があります。
大きさによっては数十キロにもなる石の固まりですので当たれば怪我ですまな い場合があります。


側溝、ため池
火災現場では40〜50tの水を使って消火するため、場所によっては辺り一 面水浸しになります。すすが混じって黒い水になっているのでその中にある側溝 やため池などはよく判らなくなってしまい、はまってしまう時がよくあります。
はまって水浸しになるだけなら笑われるだけで済むのですが、時には足を骨折 してしまう場合があります。


バックドラフト
映画などでご存知の方も多いでしょうが、我々消防職員には大変危険な現象で す。
密閉した室内で火災が発生すると、部屋の温度がどんどん上がっていきます。
しかし、燃焼により部屋の酸素がある程度消費されると、燃え上がる温度があ るのに炎が窒息して燃えられない状態が作り出されます。
ここへ消防隊がドアを開けて進入すると大量の酸素が室内に補充され、一気に 、爆発的に炎が吹き出します。
鋼鉄製のドアが吹っ飛ぶこともあるようです。
密閉した室内へ侵入するときはいきなりドアを開けずに、まずは素手でドアを触ってみます。 もしバックドラフトが起きるほどに室内が燃焼したのであれば、熱くなっているはずです。
そんなときは援護注水を受けながら、ドアの正面には立たずに、ドア横にへばりついて様子を見ながら開放します。


フラッシュオーバー
バックドラフトとちょっと現象が似ているのですが、これは火災で温度が上昇 していって、ある一定の温度を超えると一気に炎が強くなる現象です。
たいして燃えていないと、屋内へ進入して消火活動を行う場合があります。
天井付近がちょっとしか燃えていないとたかをくくっていると、炎が急速に巻 き込みながら降りてきて、部屋の温度が一気に高まり、部屋中に炎が充満してし まう事があります。
防火衣の耐熱温度は400度、フラッシュオーバーによる炎の温度は1100 度もあり、防火衣は全く役に立たずに消防士は殉職してしまいます。
フラッシュオーバーは密閉した空間のみに発生するのではなく、条件が揃えば どこでも起きる可能性があるので、とても恐い現象です。


水蒸気爆発
火災現場に金属の切り屑などが大量にある場合は水蒸気爆発に気をつけなくて はいけません。
水蒸気爆発とは、非常な高温になった金属に水を掛けると突然爆発を起こす現 象です。
これは

の、2通りあります。

これは金属が高温になればなるほど、細かくなればなるほど起こり易くなりま す。
燃えてる建物の中に何が入っているかを認識しておかないと大変危険です。
とにかく火を消そうとして注水したとたん、大爆発を起こして殉職してしまう 事例もたまにあるからです。
火を消すための水が爆弾に変身してしまう訳ですから恐いですよね。


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