特集 コンパスと送電線2

2005年1月21日 手紙
テキストファイルに作成中

登山者情報880号にありました送電線の下でもコンパスが正しい磁北を何故指すのか?ということについて確信(絶対の)はありませんが、私の考えを参考までにお知らせします。
@ 送電線は、三相電力を送っている(電線が3本で1回線)

図1

A 送電線を流れる電気は、上の発電機のコイルと変電所のコイルのイメージがそのまま利用できます。但し発電機(G)は回転している、変電所のトランス(Tr)は静止しています。

図2

図2は、送電線を流れる電圧、電流を表します。矢印の長さは送電線を流れる電圧の高さ、電流の大きさです。
円筒形の大きなモーターのように、水や石油、原子力のエネルギーで回転して電気を作り、各々120°づつ、ずれています。(正しくは、ベクトル図と言います)
変に思われるかもしれませんが、三相電力を合成すると実は0になるのです。

図3

左のベクトルがどんな力かを合成します。三方向に同じ力で引っ張っているとイメージしてください。当然吊り合うので中心は動きません。
つまり中心に対する力は0なのです。これが理解できればあとは簡単です。分からない時は電気に詳しい人(電力会社)に聞いて下さい。







図4

(2) 
図4は三方向の力の合成図です。まず、T、Sを合成すると(下向の赤線になります)正三角形が二つできますから、赤線の大きさは、R、S、Tと同じでR相と180°ずれているので、RとT、Sの合成をさらに合成すると、中心は0で矢印はどの方向にもなくなります。これが幾何学的説明。

図5

(3)
X、Y軸に置き換えてみます。













図6


左の図は、Rの電流を1とするとSとTにはRの1/2づつの反対方向の電流が流れることを意味しています。



































B 電線に流れる電流と磁界(磁力線)の関係(右ネジの法則)

図7

これからの説明は電線がこの紙を突き通しているイメージで行います。
「○に×」=木ネジを表面から通したイメージ
「○に●」=木ネジを裏面から通したイメージ
つまりネジの先が電流の進む方向のイメージ
(3)の説明をこれで行います。
電線の周囲に発生する磁力線は、電流の進む方法に対して右回りに起こる⇒右ネジの法則

図8


3本の送電を金太郎飴のイメージでイメージします。すると左の図は右ネジの法則で表すとこうなります。





















図9

結論この絵の場合、R相に右回りの2本の磁力線が発生する。T、S相に左回りの1本づつ計2本の磁力線が発生する。従って同じ大きさの反対方向の磁力線が発生し互いに打ち消されて送電線の磁界は理論上0である。⇒コンパスは正常に磁北を指す。


以上で説明を終わります。
しかし合成力が0なのにどうしてモーターが回るか?と思われると考えますが、その辺は難しくなるので省略します。
送電線の周囲に発生する磁界(磁力線)は、各々がうまく打ち消しあっているのです。
ですからコンパスにも無線にも送電線の影響を受けないと言われています。
無線が配電線に影響することはあるようです(HF帯)。ホームページは良く見ておりますので、よろしくお願いいたします。