山のことあれこれ 21

2008年05月17日(土)
 17日昼から大江町で開催された「磐梯朝日国立公園朝日地域の登山道調査にかかる意見交換会(第2回)および山の保全セミナー」に出席した。前半の意見交換会はこれまで関わってきたワーキング委員会の経過報告である。
 山の保全セミナーは、東京農業大学麻生恵教授による「巻機山における植生復元の取組み」もこれまでの復習という感覚で話を伺った。その中で心にとまったのは次の2点である。
@ 植生復元の現場において雪田草原の優占種であるヌマガヤは、もともとパイオニア種である。それが厳しい環境のため遷移が途中で止まっていると考えられる。
A 黒土の流出は、夏の乾燥によって黒土に亀裂が生じ弱くなることが原因の一つである。従って緑化ネットを張ることにより、草で覆われているように湿度が保たれて流出を防ぎ、速やかな生育を促進させることができる。
 次いで新潟国際情報大学澤口晋一教授が「野外観測からみた風衝地における土砂移動の特徴」と題し、彼の修士論文である北上山地での研究を発表してくれた。
 飯豊連峰においては、雪田植生の破壊が顕著なのに対し、朝日連峰では風衝地植生の破壊が目立つことから、特に興味のある分野だ。
 凍土と溶解が石や土を動かす原理を彼は分かりやすく説明してくれた。大雑把に言えば、霜柱は斜度に垂直に石を持ち上げ、霜柱がなくなった時に石は重力に従って落ちることによって、石は斜面下方に移動する。また水分を含んだ土は泥となって同じく下方に移動していくとのことであった。
 しかし実験によれば、表面に直径0.5〜1cm、深さ10〜20cmの礫層がある場合には登場は発生しないとのことであり、この原理を利用することによって風衝地の破壊進行を止めることができるのでないかというのが、結論であった。
 周氷河地形である階段状地形の縁を登山者によって破壊され、そこから平坦部の土が雨水等によって流出し、ついにはガリー浸食を受けている箇所の修復にあったては、この原則を踏まえておくことが肝要であると感じた。

麻生氏の講演のポイント
講演をする澤口氏
霜柱が斜面に垂直に石を持ち上げ、霜柱が消えると重力により落下する
石が動くのは春と秋
動いた石の軌跡
北上山地の破壊された土壌
本日の結論

2008年05月31日(土)
 小国町森林セラピーシンポジウムを聴講する。始めに小山浩正氏(山形大学農学部准教授)から「ブナの知られざる生き様とその楽しみ方の提案」と題する講演があった。この中で興味を惹いたのは「ブナは5〜7年周期で実がなるのは、ブナヒメシンクイという蛾に対するエスケープ仮説によって説明できる」ということであった。
 この虫はその名のとおりにブナの花芽を食べる。毎年一定の花芽を持った場合は、虫一定の食料を確保することができる。しかし花芽がない年があれば虫は食糧不足になる。数年間花芽を持たないことでブナヒメシンクイは数を減らすが、そのタイミングを狙って大量に花芽を持てば、食害を最小限に抑えることができるのである。これが「天敵から逃れるためのブナのエスケープ仮説」であるというのである。生物のしたたかさを思い知らされる話であった。
 最後に小山氏は「ブナの双葉が根元だけに生えていない」画像を映し、その原因を宿題とした。講演終了後、小生は小山氏に「根あきが答えですね」と話したところ、「その通りだが、何故根あきが原因になるのか?」と再質問を受けた。首をかしげていると小山氏と話しがって順番を待っている方が答えを教えてくれた。「そういえば熊猟の先輩がブナの実がなったよく春は、根あきを探せ」と言っていたことを思い出した。
 その後、河野透氏コーディネーター、田口洋美氏・木谷真由美氏・早坂みどり氏パネラーによるパネルディスカッションが行われた。

講師の画像から
パネルディスカッションで熱く語る田口氏

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