山のことあれこれ 94

2014年02月26日(水)-27日(木)
 新潟県阿賀町で「平成25年度飯豊連峰を囲む三県山岳遭難対策合同会議」が開催された。参加者は67人である。飯豊朝日山岳遭難対策委員会救助隊からは、井上邦彦・吉田岳・羽田義明・舟山真人・横山隆蔵の5人が出席した。
 古い資料を紐解くと、昭和62年(1987年)11月26日に山都町いいで荘で「飯豊連峰関係市町村山岳遭難対策合同会議」が開催されている。おそらくはこれが現在の三県合同会議の始まりと思われる。当時は基調講演がなく、挨拶のあとは直ぐに協議となり「地区遭難対策協議会の活動状況・遭難救助活動時の補償・山岳無線・合同捜索・危険箇所・登山カード通過カード・自然保護対策(幕営地の規制)」について話し合われている。以来今年で27回目となる計算である。この会議が飯豊連峰における遭難事故防止、捜索救助活動に大きな役割を果たしてきたことは高く評価できると思う。当時の出席者名簿をめくると、鬼籍に入られた方々の名前が目につき、どこかの時点で合同会議の経緯を纏めておく必要があると感じた。
 さて、今回の合同会議は、新潟県警察本部山岳救助隊長の星警部と、航空隊長の大竹警視が講演を行った。中でもパイロットとして多くの案件に従事してきた大竹氏は、ヘリコプターのリスクを淡々と私達に教えてくれた。ともするとヘリコプターの利点にだけ眼が行きやすい私達は、しっかりと学ぶことの重要性と、安易な救助要請への警鐘を実感させてくれた。
 その後、小国町・喜多方警察署から今年度の遭難事故報告、村上市消防本部から県境での合同救助報告、下越山岳会から通信手段についての問題提起があった。
【私のメモ帳から】
・新潟県警には中型2機・小型1機、山形県警には小型1機、福島県警には中型1機・小型1機が配属されており、他に各県とも1機の中型防災ヘリが活躍している。
・サバイバースリングは、事故りやすいが早いので天候変化がある時に使用する。
・エバックハーネスは、フックに負傷者の手が届くので、触れて指を負傷する可能性がある。
・担架は網状にして風の影響を受けにくくして回転を少なくしている
・問題となった航空機事故例として、H11年奈良県、H12年新潟県、H21年岐阜県、H22年埼玉県、H24年秋田県、同年岐阜県、H25年奈良県、同年静岡県の事例がある。
・季節や標高、悪天などによりヘリコプターの性能限界ぎりぎりで作業を行うことがある。極端な場合は燃料計の警告ランプが点くまで燃料を少なくしたり、隊員の数を減らす場合がある。
・ヘリが大型化になることで、風圧が高くなることに地上隊は留意して欲しい。
・地上隊は目立つ服装にして欲しい、警察の活動服は見えにくい。
・地上隊員を搬送する時、片道切符になる可能性があることに留意して欲しい。
・要救助者から携帯で要請する時は、友人宅や警察署ではなく110番か119番(山形では不可)にして欲しい。
・スマホはバッテリーの消耗が激しいので留意して欲しい。
質問に対し
・携帯電話のGPSは世代によって誤差がある。GPSがない携帯は誤差の大きい測位になる。昨年まで位置情報を出さないスマホがあった。

阿賀町副町長挨拶
津川警察署長
新潟県警本部山岳遭難救助隊長の講演
新潟県警航空隊長の講演
新潟県警航空隊は全国で3番目に救助者数が多い
吊り上げ用具の危険性
一度事故が起きると・・・
下越山岳会の佐久間会長が二王子岳事案を発表

おわり