ツ ア ー 登 山


議題「梶川尾根遭難」=登山者情報第940号


送信日時: 2005年8月24日 件名: ツアー登山 山田亘

 井上さん、ご無沙汰しています。合同訓練のときは本当にありがとうございました。私は相変わらず初心者ですが、外を歩いていて、「飯豊歩いてて良かったな〜」と思うことが良くあります。苦しくても体がダイグラを覚えていて頑張れます。
今回ツアー登山の意見を募集されていたので、投稿させていただきました。過激な点、稚拙な点、余り見直していません。けれど本当に思ったことを書きました。
 2003年の秋、カムイエクウチカウシで、ガイド一人、お客一人のツアーに会いました。山に馴染んだ人達で「河原歩きをせず、樹林帯を積極的に使うように」と言うと、七の沢に下りていきました。このようなツアーなら是非参加したいと思いました。今でも休みが多く取れたら、参加しようと思っています。
それから早池峰で花の時期に小田越から登るツアーに会いました。参加者8人、前後をしっかりしたガイドで固め、休むべき所で休み、山行の面白さと安全のバランスが高いレベルで取れていると思いました。
 一方、2〜3年前に鳥海で変なツアーに会いました。七五三掛のすれ違いの難しいトラバースで、先頭のガイドが「私ら70人で来てるんで先に通らして貰います」と言ったっきり、後は、統制のとれてない人達が、ぺちゃくちゃしゃべりながら、止まらない鼻血のように続きます。最後尾も普通の人で、誰かはぐれてもわからないでしょう。
 ツアーではないですが、常念のヒエ平付近で、関西のグループから「下でジャンボタクシー待たしてるんだけど、私ら間に合いそうもないんで、あんた先行して待つように言って下さい。」と言われた時は、絶句しました。私の眼には、全然問題ないように見えましたので、断りました。
 このように、ツアーや団体はいいものもあれば、変なものもあると思います。そこで変なツアーを締め出すという発想もあるのでしょうが、そうするとガイドの仕事もなくなり、山を生業とする人々が枯渇するので、変なツアーをいい方に誘導した方がいいのだろうと思います。
 いいツアー、変なツアーというのを定義づけていませんでしたが、いいツアーというのは、自律性のあるツアーです。いいツアーは、「自己の危険と計算において」、山の危険に自律的に反応し、営利も獲得します。変なツアーというのは、「恥」や「美学」のないツアーです。「なんで?」と言われると困るのですが、多分営利を重んじすぎて、ハイリスクハイリターンになってるのだと思います。
 どんなツアー構成を組むかは代理店の自由だと思います。けれど、一度事が起こったとき、そんな破れ袋みたいなツアーから救助を頼まれる方は堪ったものではありません。小国の皆さんは、他に大事な仕事を持っています。そのような善意の対応は、どうしても避けられない遭難のために、とっておくべきだと思います。
 そこでどのようにして、やらずもがなの遭難を減らすべきかですが、
@飯豊の急登を周知させる
〜最近少しずつ外を歩くようにしてるのですが、梶川尾根の急登は一味も二味も違うと思います。これを関東方面に流布させてツアー参加者を心理的に篩いに掛けたらいいと思います。
A名ガイドを作る
〜代理店がお客さんを集めて、ガイドに外注するというのでは、代理店優位で、営利性の強いツアーになると思います。誰々は名ガイドというのを作り、直にお客さんを集められれば、代理店に渡さない分、利益にゆとりが出来、人数も良心的なツアーができると思います。要するに、生活のため代理店の言うことを聞くガイド、からの脱却です。
B顧客を啓蒙する
〜申し込む前に、ツアーの質の良否を啓蒙する、「事故歴とその原因」とかそういう情報を開示すべきだと思います。 本当に良いツアーとは何かを考える場を提供すべきだと思います
C百名山に替わるイメージを持つ
〜「日本百名山」は名著だと思いますが、百名山ツアーは問題です。なんでかというと、「飯豊が好き」で来るのではなく「百名山が好き」で来がちだからです。好きでない山を、よく調べずに来れば、遭難しやすくなるのもあたりまえ。「1/100の山」ではなく、「今一番行きたい山」が大事なのだと思います。
D何度も登る
〜飯豊はリピーターの山というか、噛むほどに味が出るというか。要するに、何度も登ろうということです。何度も登る人の割合が増えれば、軽率な事故が減るような気がします。何度も登る人達の間で自然発生的に、今風の飯豊講が出来たらいいと思います。
 私も変な単独行です。去年の7月にダイグラで雪渓に嵌り、だめかと思いました。人のことはいえません。でも、飯豊が好きなので言いたいことを書かしていただきました。


送信日時: 2005年8月22日 件名: 今回の遭難事故について(梶川尾根) メール名匿名・仙台在/稜線と花を巡る山人/岩井天地
ツアー登山者の遭難について、何か意見が有ればとのことなので初めてですが私見を述べさせて貰います。
<飯豊山登山者情報>
私も年1回は飯豊山石転び沢雪渓を登るので、登る前には必ず飯豊山登山者情報を見ています。その時々の様子が判るので貴重な情報源です、ありがとう御座います。
<今回の遭難について>
新聞で遭難を知り、何で梶川尾根かなと率直に疑問を持ちました。記事を見たら滝見場付近で転倒して骨折とのこと。年齢は54歳の女性、私より2歳下。 私は56歳です。何故転倒したのか!!! 疲れで躓いたのか? 要は体力不足と思います。 街でも転んで簡単に骨折しますから。
7月20日、石転び沢を登った時に年配の女性は石転び沢まで行く予定が、自信が無いと言うので途中で引き返して来ました。このグループは男性3人と女性1人で、女性は最初から調子良ければ石転び沢出合までとの行程でした。 
中高年は皆無謀登山との風潮がありますがそうではありません。極一部の身の程を弁えない中高年が無謀登山しているだけと確信しています。無謀登山とは己の技量&体力を弁えないで、かつ、悪天の時に登る人と私は定義しています。
<ツアー登山について>
私も40代の頃、八方尾根&唐松岳&五竜岳のツアーに始めて参加しました。自分で行けばマイペースで登れますが、面倒だったのでツアーにしました。ペースはスロー、悪天の為、五竜岳は中止と為りましたが、メンバー全員異議なし、途中、晴れてきたのを見て九州から来た男性1名だけがツアーを離れて登りました。 私も行こうかなと思いましたが、既に登っていたので止めました。添乗員は何時までに戻る様にと言ったと思います。男性1名は無事登り、ツアーにも追い着きましたが。それだけのスローペースです。
今回の場合は飯豊山という特殊事情があると思います。ツアーの殆どは東京方面です。北アルプスの様に簡単には登れません、そして遠くて夏場しか行けない飯豊山。せっかく楽しみにして来たのに1名の為に台無しになるのはヤルセナイ気持ちになります。怪我をした女性もそこを考え、ツアーに登山続行を頼んだものと思われます。事故はツアーの人が下山して警察に連絡しているし。これはツアーならではの特徴と思います。
参加者としてはツアー代を返してくれるなら、即下山に同意したかどうかも疑問と思われます。ツアーの添乗員・ガイドの方もそこの所を考えての行動と思われます。第三者から見れば、事故があれば皆下山するのが当たり前と思いがちですが、ツアーの場合はそうは行きません。救助に当たられる井上さんから見ればはた迷惑な話と思いますが、現実はそんなものと思います。皆、自分の事しか考えませんし、誰かが助けてくれると確信しています。
別にツアーの行動を弁護するつもりは無いですが、何故、この様な行動に為ったかはツアーの構成、遭難に関する認識、山に対する認識を深く考えないと単なるツアー無謀登山の一言で片付けられてしまいます。
ツアーでない場合は全員下山するか、責任者が怪我人を麓まで送るのを見届けてから残りで登るかの判断になると思います。ツアーで無くても山のサークルも同じかと思います。
又、長年楽しみにした山を念願叶い、それも好天時に登っている時に遭難者を見掛けた場合にどうするか?
1.生死に問題がある場合。
2.単なる怪我だが動けない、が、連絡するにはせっかくここまで登ったのに麓に下りなくてはならない。連絡者は自分しか居ない
3.同上、ただ他の登山者も居る。
他にも色々なケースがあるかと思いますが、1の場合は問題ないですが、2の場合は私も迷います、携帯が繋がれば連絡しますが携帯が不通の場合は又誰かが来るかも知れないので放って置くかも。実際そうはしないと思いますが。
以前、ツアーでの途中怪我による事故が多く発生してからは、最近は年齢制限&体力&山の経験等を勘案していると聞きましたがそうなっていないのかな。
7月20日、梅花皮小屋で一緒だったツアーはガイドを含め6人と少人数でしたが、年配の男性は山岳部出身でしたが無理をせずにツアーで来たとのことでした。山小屋で聞いたのですが、以前は連絡も無しにツアー客がどっと入った事もあったが、最近は無くなったと聞きました。
<遭難について>
ただ山の遭難は高い山・危険な山ばかりとは限りません、どんな低い山でも尾根道から転落して打ち所が悪ければ死に至ります。私は里山から飯豊山を登りますが、どんな山でも気は抜けません。私はどんな山でも最悪死を覚悟しています。
<遭難記事>
しかし、山の遭難がどうして記事になるんでしょうかねー。こちらは参考になるので助かりますが。ちなみに7月21日の石転び沢遭難は亡くなったのに記事にならない。本来であれば無謀登山を戒める為にも載せるべきと思いますが。7月9日、梅花皮岳からのアイゼン未装着で滑落死は掲載。遺族からすれば載らないのを望みますが。
<捜索費用>
又、水難事故は捜索費用は無料、大雨を無視して河川敷に取り残された捜索費用も同じ。ただ山岳遭難は実費。 よく山小屋で話題になります。救助する側から見れば警察等の行政機関を除き、民間の人は善意と手弁当では全く割が遭わないし二重遭難の危険もあるので当然。
<遭難件数>
04年山岳遭難1321件、遭難者数1609人、死者&行方不明267人  40歳以上の中高年が1309人と8割を占める。04年水難事故1505件、水難者数1831人、死者&行方不明892人 ちなみに交通事故は8000人弱(24時間以内)
別件ですが、「05.7.29さいたま市の親子が登山に出かけたまま帰宅しないと糸魚川署に埼玉県警から連絡あり、蓮華温泉近くで2人が乗った車を発見。」これは結局家族から捜索はしないでくれと言われ、そのままで今に至る。どうも訳ありらしい。
<7月20日石転び沢を登って>
石転び沢を登る時は必ずインターネットで登山者情報&遭難情報を見ます。私は7月19日に飯豊山荘に泊まり、7月20日石転び沢雪渓〜梅花皮小屋そして頼母木小屋〜杁差小屋〜梶川尾根〜7月23日飯豊山荘に下りました。
7月20日雪渓出合は快晴で初めて楽に石転び沢を登りました。登った人数は18人位か。 そのうち7人パーティの内2人だけがノーアイゼンでした。彼らにはクレパスで手を貸したりしたのですが。ちょうど、小屋から下りて来た地元の若い男性が中の島近くで、アイゼンを一人に貸して、管理人の関さんに連絡して中の島からトラバースする急斜面をピッケルで雪道確保してもらいました。登ったらすぐに関さんにお礼すると思いきや、後からでした。同じ中高年登山者として情けないと思いました。この時期はまだ涼しくそして晴れていたので無事に登れたと思わなくては。どうも山を舐めているとしか思えませんでした。
男性8人のグループはヘルメットまで持参した完全武装でした。このグループは皆60歳以上でしたが、テンポも良く中高年登山者あなどるなかれと思いました。
7月22日、頼母木小屋で門内小屋から来た人に石転び沢雪渓での滑落事故を聞きました。小国警察署に確認したらリーダーでありながら、皆にはアイゼンを履かせたが自分は悪天にも関わらずアイゼンを未装着、これは山を舐めていると思いました。皆もリーダーなので何も言えなかった。死者に鞭打ってもしょうがないですがせめてもの救いは皆にアイゼンを履かせたことでしょう。それともアイゼンを外す理由があったのか?真相は死者のみしか解かりません。
私も悪天時と中の島が相当剥き出しになった時に登りましたが、疲労がピークに達し相当危険な所と感じています。
<体力と身の程を弁える>
昨年は7月末に石転び沢〜梅花皮小屋〜本山小屋〜ダイグラ尾根を山行して次の経験をしました。
1.出合から雪渓取り付きまで1時間も掛かった。おまけに取り付けを探している時に岩を滑り落ち一瞬終わりかと思ったら眼鏡が傷ついただけで済む。
2.荷が重く、暑さでダイグラ尾根は完全にバテテしまった。これを反省に装備の拡充&体力を付けることにし、歩き走り、山を登り今年の飯豊山を無事終えました。雪渓は栗駒山御沢雪渓で訓練をしました。 (石転び沢より急峻です)来年も体力と装備を万全にし、そして天気の良い日に登ります。これも若い時から今まで相当危険な目に会った反省からです。小生は単独登山なのでなお一層体力が必要です。
要は身の程を弁えることです。それでも万全とは言えません、自然が相手ですから。
<百名山>
どうも深田氏の百名山がいけないですね。これが中高年登山者の目標になっている感じです。あれは単なる個人の趣味、皆自分の百名山を持てば良いのにと思いますがやはり目安になるのでしょう。
つい長々となりましたが遭難とツアー登山に関する私見です。今後とも登山情報、宜しくお願いします。
私が飯豊山に始めて登ったのは29年前です、山渓に載っていたので登りましたが、白馬大雪渓を登った後でしたが(8月上旬)天気が悪く飯豊山荘で待機し晴れたので登りました。とにかく素晴らしい山でした。その時石転び沢を登ったのは私達3人だけと記憶しています。当然テント持参でした。人とすれ違った記憶もありません。京都大学山岳部は梶川尾根を登っていました。
飯豊山がいつまでも深い山で在ることを祈ります。


2005年08月20日 井上邦彦
私はツアー登山を一纏めにして論ずるのは問題があると思います。何年前になるか、山形県で行われた全国山岳遭難対策協議会で発表させていただいた時に「アルパインツアーサービス:http://www.alpine-tour.com/」の黒川恵さんと話をさせていただいた。あの時に黒川さんから労山の中山さんを紹介いただき、私が真剣に雪崩技術に取り組むきっかけを教授いただいた記憶がある。
さて、その黒川さんが「ツアー登山だから安心と言われるために: http://www.alpine-tour.com/flame/frmnewsletter_1.html」と題して意見を述べている。
この文章を一読して、私は我が意を得たと喜んでいる。是非、一読していただきたい。


2005年08月20日 井上邦彦
登山ツアーを行っている会社・団体は数多くあります。
登山ツアーに参加する時は先ず「ツアー登山者のチェックポイント:http://www.pref.nagano.jp/police/sangaku/tour/tourchec.html」をご覧ください。これは「長野県警察山岳情報:http://www.pref.nagano.jp/police/sangaku/sangaku.htm」の中の1頁ですが、要点が上手く纏められています。
特に下記の点に明確な回答を得ることができないツアーには参加すべきでないと考えます。
@ 案内者の数=ガイド一人が案内する人数は、3〜4人が適当。40人に2~3人では少ない(難易度の低い山でも論外と言うことです)。
A 緊急時の対応=パーティの中に具合の悪い者が出た場合、以後の山行はどうなるのか
B 救助に必要な人数=事故発生時には最低でも4〜5名が必要
C 無線機を携行する=携帯電話は、ほとんどが通じないと考え、予備的なものとして携行する。


送信日時: 2005年8月17日 件名: お疲れ様です。 つだ@こころは小国
いのくにさま、どうもご無沙汰してます。どうも今年は遭難が多いようでご苦労されていると思います。お疲れ様です。
HPも今までの記録もの中心ではなく、読者参加型のページができることや、生々しい遭難報告等、どんどん進化しているんだなと思っています。(いのくにさんの頭のなかでは、もっともっといろいろなことを考えてるんだと察します)
個人的に山の話を少しだけ書いてみますと、今後ますます登山のただのり(フリーライダー)は増えていくのだと思います。昔の登山者はどこかで連携しつつ、助け合いながら山登りをしていたのでしょうが、現在のツアー登山をはじめとする「連れて行ってもらっている人」や、携帯ですぐヘリを呼ぶような「自己責任」を追求できない人は増加するばかりでしょう。
負傷者1人をおいてその後の登山を続行するなど想像だにできないことと思いますが、実際のそのようなことが平然と行われていることに愕然とします。
これも山というおおよそ商業とは無縁な環境のなかに、あらたに商業(ツアー)を持ち込もうとするからなのでしょうか。
「個人的」にはその解決方法は、登山者の啓蒙等の手段もあるのでしょうが、悲観的な考え方かもしれませんけれど自己責任の追及しかないと思っています。
遭難に際し生命の危機に貧する状況をどこまで想像できるか。自分の生命の価値をどこまで想像できるか。遭難すればその救助のためにどれだけの金額がかかるのか。逆に言えば救助する側が体や心を削ってまで救助する意味はどこまであるのか。
救助する側とされる側のバランスをどこで取るのかは非常に難しいと思います。しかしながら現在は救助される側が優位にありすぎるのでないかと思います。
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なんだか自分自身が考えていることと書いていることが乖離しているような感じもしますが、こんな時間なので多分に中途半端ですが残りは割愛。
ただ私自身が小国山岳会にはいり、かつ弥輔さんにお願いして救助の現場にまでも立ち入らせてもらったのは、その技術を教えて欲しいということとともに山には入る以上避けて通れない「遭難」の裏側でどのように救助が行われているのか知りたかったということだったと思います。
ばらばらしてますが、飯豊山域は小国山岳会がいるからこそ飯豊なんだと切に思います。
また近いうちに是非小国に帰りたいと思っています。そいではおやすみなさい。。。


送信日時: 2005年8月15日 件名: ツアー登山について メール名匿名・テントミータカ
再びテントミータカ、です。拙いながら、追加、私見述べさせてください。ツアー登山締め出し論まで出ていて、ちょっと違和感覚えましたので。
ツアー登山含め団体・個人での入山の線引きは無理です。手段はともかくも、山を愛すればこそ山に入るので、所属の人数で小屋泊規制されるとは、何か、話が違う。個人でも人数集まれば立派な団体(山の仲間)です。一畳四人の世界も現実にあります。基本的に山小屋利用となれば、運の良し悪しで混雑に巻き込まれるのは、仕方ない(山の仲間)。
うろ覚えですが、南アルプスの一部小屋、食事付き小屋泊は50歳以上かつ三人以下のグループの規制あり。管理人様の話では、用意のいいツアー会社は、予備のテント持参で、小屋の宿泊客数確認し、空いていれば宿泊するとの事。
小屋の食料販売でも、入山者が全員、利用すれば、たちどころに完売となるでしょう。個人の私には、到底、当てに出来る代物ではありません。
飯豊に相応しいのは、食料・テント持参で入山できるツアー、しかも、緊急時には自前で救助体制がとれる。現在、この条件に沿う、山岳会同然のツアー登山会社は、何社あるか。
以前の、私のイメージは、飯豊朝日はテント泊が主流で、混雑覚悟の小屋泊。が、現在、朝日連峰が幕営全面禁止(非常時は除く)。自然環境保護の観点から、幕営指定地縮小傾向ですが、飯豊は、まだテント泊できる山と思っています。いよいよ飯豊も、小屋の大規模化が必要ではないだろうか。


送信日時: 2005年8月14日 件名: RE: 登山者情報940号(2005年07月31日)梶川尾根遭難に関する写真情報 匿名=たか
お手数ですが、写真情報は下記のアドレスをクリックしたいただきますようお願い致します。
http://mocrac.client.jp/g1-k.html


送信日時: 2005年8月13日 件名: 梶川尾根遭難(2005年07月31日)に思う 橋本勝
仙台の橋本と申します。以前、ダイクラ尾根遭難(登山情報489号 2000.7.29)に投稿した者です。その折りは、井上さん始め救助に合ったみなさんにご厄介になり本当にありがとうございました。今回の事故事例を見て是非感想を伝えたい気持ちになり、メールすることにしました。
本件は、現在の登山者モラルの変化が現れた内容に思われてなりません。簡単に言うと「都会化の波が飯豊山にもやって来ている」様に思います。遭難した女性の方にも、ツアーのみなさんにも「山岳救助」について甘い感覚を持っておられる様に思われてなりません。「遭難しても、空からヘリコプターが飛んできて救助してくれるから大丈夫」とタクシーでも呼ぶ様な感覚がなかったでしょうか。遭難パーティの行動を見て、私はそんな気持ちになりました。
10年前に初めて飯豊山に登山した時、たまたま下山途中でご一緒した地元山岳会の方(名前は交換しませんでした)にお聞きした言葉を今でも覚えています。それは「飯豊山は観光より自然を大切に残すため、山岳道路を作らなかった。だから自然がたくさん残り、アプローチも大変なのです」と言うことでした。中央の山では「山岳道路」「山小屋」等が整備され、容易に登山できる様になっている状況の中で「なんと自然が残り、奥が深く広い山であるか」を知りました。
それ以来、私が毎年飯豊山に登山を続けている訳でもあるのですが、時代の流れとでも言えばよいのでしょうか。山小屋でも「寝具やレトルト食品による食事の提供」等がされる様になり、今回の様にツアー登山で飯豊山に入ることも流れかもしれません。しかし、飯豊山の厳しい自然は何も変わっていない事を忘れてはいけないと思います。
2000年の遭難では救助要請を合わせて3回お願いしたのですが、初めに遭難したYさんを救出した時から深夜温身平に下山するまで、まったく関係のないそれぞれのパーティ(3名、2名、単独×3)が誰も通り過ぎることなく一緒になって救助にあたりました。その時の連帯感は今でも忘れることができません。全員が登山者マナーをしっかり知っていたからだったとも思います。
さて、今回のケースの様に登山パーティの一人が骨折をして動けない状態となった場合、「遭難者を一人残して登山を続ける」ことはいかがなものかと思います。ツアー登山でなければリーダーの方の行動も違ったものになったかもしれませんが、一度山に入ったならばどんな形であろうと連帯責任の中にいることは忘れてはいけないことだと思います。それには、入山前にツアー参加者に「非常の場合」を想定して、「どの様に対応するか」理解をして戴いておくことが必要だと思います。
安易に「遭難しても救助してくれるから」等と考えずに「自力で下山できる自信がなければ入山しないこと」が登山の基本と考えます。
「登山にはリスクが伴うこと」「自然は怖いもの」と心に刻みながら、還暦となった今でも近くの山で足慣らしをして自信をつけてから飯豊山に入山しています。
井上さん始め救助隊や警察の皆様のご努力のお陰で、安心して登山できることは本当にありがたいことです。これからも元気でご活躍ください。


送信日時: 2005年8月13日 件名: ツアー登山について 北川朝生
5日に入山し8日に下山しました。飯豊は4回目。川入から登り、切合小屋泊、御西小屋2泊しました。井上様は、私が切合小屋から御西小屋に向かう途中、御西小屋に立ち寄り、松葉さんと会話した由。井上様の登山記録からも分かりました。松葉様にはお世話になり、住所など聞いた次第です。
ところで今回の登山中、峰秀水にてツアー登山の集団に出会いました。個々のメンバーや女性の添乗員には全く問題を感じておりません。それぞれ分をわきまえて、行動していたように思われます。その後、切合小屋から大日岳を往復し、川入に下山したようです。
2日目に、私が川入から上がっていた途次出会った若者に駒形山辺りで再度出会って話した際、気になったことがありました。それは彼が1日目に飯豊本山小屋に宿泊しようとしたところ、小屋の主人から断わられ、御西小屋に宿泊するよう要請されたとのことです。当然のことながら、小屋が満杯だったからのようです。つまり私が切合小屋で一緒になったツアー客とは別のツアー客がすでに本山小屋にいたようです。
天候のことや時間的なことおよび本人の疲労度などの総合的判断から御西小屋へ移動するように言われたことはもちろん想像できるのですが、一挙に20名を超える人数のツアー登山は、今後そういう個人の登山客に変更を強いる機会が増すのではないかと懸念する次第です。
どこぞの旅行社がそういうツアー登山を企画するのでしょうが、いくら前もってどこどこの旅行社が何名を引き連れて小屋にやってくる旨、伝えられていても、一般(個人)の登山客は不特定数なのですから、山小屋にとって大人数であるツアー客の到来は果たしてよいことなのでしょうか?
小屋は原則、やって来た登山客を断われない、と思っております。現に今回、断わられた客がいたということは、明らかにツアー登山の影響があると思われます。
飯豊の小屋管理人が全体で各旅行社に、ツアー登山の無謀性を訴えることが必要に思います。これは拡げて、日本全体の山小屋連合が立ち上がる必要があるかもしれません。「小屋」は果たしてツアー登山が来なければやってゆかれないような存在でしょうか?利潤追求の場でしょうか?そうではないはずです。飯豊本山小屋でもレトルト食品の頒布が始まっているようです。これを聞いてちょっとガッカリしました。
御西小屋工事の現場監督の若い衆が言っておりました。「御西避難小屋として新しく建設される小屋が『避難小屋』の性格が強いのならば、計画されている管理人部屋は不要だと思う。でもやはり登山客により荒らされないために、管理人部屋建設は必要なのだ。引き渡しまでの期日までは私が小屋の番人でいたい」つまりいくら避難小屋であっても、結局はそこで「営業」が行なわれ、ツアー客を受け入れる態勢ができつつあるのです。
時代は変わるとは言っても、そして旅行社がどんな企画を持って来つつも、毅然と断わるだけの強さが今求められているのではないでしょうか?つまり旅行社からの申し出は断わるということです。もちろん個人でも大人数はいるのですから、1パーティーの上限を7名程度にするとか、様々に工夫は要るでしょう。


送信日時: 2005年8月11日 件名: 今年の山岳事故多発についての感想 石垣あや
拝啓
 平素より飯豊朝日連峰の救助・整備・調査・情報提供活動などの労をお執り下さいましてどうもありがとうございます。
今年は立て続けに飯豊連峰での遭難の報告が掲載され、常々遭難者も救助者も痛ましいことと思っていましたら、他地域でも山岳事故が多発していました:既に御存知かもしれませんが、以下の記事です(ヤフーニュースより.同文下方掲載)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050809-00000067-mailo-l19
 この記事にもあるとおり、山岳部は大概人口が少ないので、予算や人的資源が潤沢ではなく、警察・消防署の規模が小さいですから、出来ることには限度があります。営業活動や各人の娯楽由来の山岳事故の対策が、そのような限度ある公的資源や地域住民の税金や善意のボランティアに大きく頼るのは筋違いのように思います。不可抗力以外の事故や、過度の救助要請には、公的機関やボランティアが応じなくても良いのではないかとさえ思います。
 入山者各人の良心に頼っても事が改善しないのであれば、何らかの入山規制と救助の限度を設けざるを得ないのではないかと思います。海外では高額な入山料を納めたり、ガイドを付けないと入山出来ない山もあるぐらいですし。今のペースで飯豊連峰の山岳事故が増え、救助関係者が事故の度に召集されるのでは、その方々の活動・本職・生活・健康・生命が脅かされ、ひいては山形県の安全・治安維持機構が破綻するのではないかと心配です。救助隊の皆様が常に山の保全や登山者のため心を砕かれ、各人の登山行を尊重されておられることはよくわかっているつもりです。しかし、現在増加する山岳事故全てに公共機関や善意だけで各人の安全を確保しながら対応することは困難で、不本意でしょうが、ある所での線引きが必要なのではないかと思います。
 無責任で申し訳ありませんが、肝心の具体的な規制方法や実行方法についての適当な案は思い付けません。そのくせこのような感想文を送付しました非礼をどうぞお許し下さい。
敬具
下記の毎日新聞の記事は著作権の問題で多分転載出来ないと思います。(注:毎日新聞山形支局様と連絡を取りました=井上)
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ピックアップやまなし:相次ぐ山岳遭難 安易に難しい山に挑戦 /山梨
 ◇携帯が気の緩みに拍車
 夏山シーズン真っ盛りの中、県内で山岳遭難が相次いでいる。7日時点で、7月に入ってから前年同期より1件1人多い15件15人が発生。うち3人が死亡し、昨年7〜8月の死者数に並んだ。首都圏から交通の便が良く、中高年の単独登山者が準備不足で訪れるケースが目立つ。自然が相手の登山は危険と隣り合わせにあるスポーツだが、携帯電話の普及も「すぐに救助を頼める」と気の緩みに拍車をかけているとの指摘も出ている。【宇都宮裕一】
 ◇中高年が82%占める
 県警地域課によると、今年に入り7月いっぱいまでの山岳遭難は43件49人。前年同期比で17件(40%)増加し、例年の8月下旬まで並みのハイペースとなっている。事故の形態は、滑落や転落が14件、道迷い6件、疲労や発病が8件、転倒が12件など。体調管理や登山計画の作成などの十分な注意をしていれば予防できていたケースが多い。
 最高齢者は神奈川県の89歳の男性。40歳以上の遭難者が40人と82%を占める。また、県内在住の遭難者は12%に過ぎず、東京都、神奈川県など首都圏からの中高年単独登山者の遭難が目立つ。
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 今年1月1日〜8月7日、長野県で起こった山岳遭難は例年並みの81件95人。埼玉県も前年並みの18件22人、静岡県は10件12人と3分の1に減った。一方、山梨県は48件54人(前年同期比16件17人増)と激増したのが目立つ。
 南アルプス市芦安芦倉の北岳に登山に訪れた複数の登山者によると、山梨県は入門者向けの山から、北岳や甲斐駒ケ岳などの本格的な山まで幅広くそろっているのが魅力。東京都など首都圏から短時間で往復できるため、結果として難易度の高い山に準備不足のまま気軽に挑戦してしまいやすい。県警は、今年のように大型連休や好天に恵まれると、首都圏から気軽な入山者が増加し、遭難の急増につながるのではないかと推測する。
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 一方、県警がもう一つの要因と指摘するのが携帯電話の普及だ。山中でも電波が通じる地域が増え、「疲労で動けなくなった」など比較的軽い内容での援助要請が増えた。
 中には、携帯電話で救助を要請しながら、民間ヘリの出動費用100万円以上を自己負担する必要があると分かったとたん「自分で下山する」と言い始めた遭難者も。また、6月には下山中の男性が両足のけいれんで動けなくなった。けいれんの場合、休めば治ることが多いため、けいれんの際は休むのが鉄則なのにもかかわらず、仲間が携帯電話で110番。防災ヘリも出動したが、その後しばらくしてけいれんが治まり仲間とともに自力で下山したケースもあった。
 7月までの携帯電話での救助要請は全体の84%の36件。県警は「登山中は自力救助が原則。携帯電話での救助要請は、本来ルール違反ということを認識してほしい」と話す。
 ◇小規模署が山岳地域管轄、地元の治安維持に影響する恐れも
 相次ぐ遭難で影響を受けるのは山岳地域を管轄する小規模署だ。韮崎署は5月1日朝、遭難2件の通報がわずか30分の間隔であり、署員全60人のうち若くて体力のある14人を呼び出し、現場に向かわせた。幸い、一方の遭難者を間もなくヘリで収容できたため、緊迫した状況は数時間で過ぎたが、同署は「ヘリでの救助が難しい位置であれば、署員をさらに動員する必要が生じ、大変なことになった可能性がある」と話す。
 署員の相当数を動員すれば、その間の管轄署の警察力低下は否定できない。軽率な登山による山岳遭難で、地元の町の治安維持に影響が出る恐れもある。
 経済的負担も無視できない。現実には公共のヘリで救助し、公務員の警察官や山岳会のボランティアが救助に向かうのがほとんどのため、正確な負担額の算定は難しい。救助をすべて民間に委託したと仮定し、04年の経費を計算すると、計41回出動したヘリの経費だけで約4100万円、捜索隊員の人件費などを合わせると約8000万円がかかったことになる。
 県警は、登山者の集まる登山口や駅前で、装備面などの指導を行ったり、チラシの配布や看板の設置を行うことで、登山経験者らから直接情報を収集し、できるだけ集団で行動するなど、計画的な登山を呼び掛けている。
8月9日朝刊
(毎日新聞) - 8月9日16時50分更新


送信日時: 2005年8月11日 件名: ツアー登山に対する意見 佐藤満
飯豊は観光旅行には向かない、地域だと思います。それに対する、準備や経験を備えてから立ち入るのがいいでしょう。ツアー登山であっても人任せにしないことです。的はずれな意見かも知れませんが以下のように考えます。
(1)準備の徹底
 飯豊山に行く前には、それなりの準備をしてから行くようにしています。3月末から二王子岳(1421m)に数回登り、冬のあいだに衰えた身体をつくり直します。そして、焼峰山、杁差岳、北股岳などいくつか歩いた後で、行くようにしています。(実際には毎週出かけてますが)
 飯豊連峰の山に登るのであれば、登山口と山頂の標高差1000m程度の山を過去2ヶ月に4〜6回程度登ってから入山することを奨めます。
 また、地図でコースチェックしたりカシミール3Dで累計標高差を調べるなど方法は色々あると思います。
(2)体力の維持
 今回事故のあった梶川尾根もきついところで、平らなところがほとんどない登り一辺倒のなかで湯沢峰から30mほど下ったあたりで、発生したのでないでしょうか(注:第940号に記載していますが、滝見場のすぐ先です=井上)。長い登りが終わり、たまに下りがあるとどうしても状況に対応できないことがあると思います。
 そのうえ、宿泊するため重い重量を背負っているわけですから、体力的にもバテテいるでしょう。
 パーティーで行動する場合は、時間も必要以上にかかり今回のコースの場合、単独で梅花皮小屋まで6時間30分かかると思います、ツアーで個々の体力が分からないような場合30〜50%は余計に時間が必要ではないでしょうか。
 時間がかかればかかるほど、体力も必要になることを認識してもらいたいものです。
(3)危険の把握
 アルプスのような道の整備が行き届いているわけではないため、飯豊連峰の山の高さが2000m程度とあなどった部分はないでしょうか。小屋はあっても、食料は持参が原則でその分荷物の量も多くなります。
 道が整備されていない、不便なところが魅力だと私は思いますが、人それぞれ価値観があるので断言できませんが。
 飯豊連峰では登り口が300〜500mで、頂上が2000m前後あるので標高差は1500〜1700m、そのうえ夏は平野部と変わらない気温で登りはじめるため、最初から大汗をかくことを登山者は覚悟する必要があるでしょう。また、登りはじめは樹林帯で風が通りません。
 今回事故のあったところも、北股岳に7月17日にピストンするときに通過しました。どこが危ないのか特に印象に残っていませんが、そういうところに危険が潜んでいるのでしょう。
(4)ネットと情報分析
 ネットで山行記録が直ぐに載る時代ですから、情報は豊富にあるでしょう。私自身もネットで山行記録を公開しています。しかし、情報を分析して自分の能力と比較することを身につけてほしいものです。
 文章の行間を読むなどという表現がありますが、地図にある参考タイムで5時間のところをネットの山行で3時間と書いてあるから自分も3時間で行けるとはならないわけです。(特に井上さんと比較するなど無謀です尊敬を込めて!)
 私もよく知っている人の山行記録を参考にしますが、同じ所を1〜2週間遅れで通ることで相手との能力差を把握し、そこから判断しています。(気象条件や植生の変化で同じ条件にならない場合は当然あります)
 昭文社の地図で飯豊山の参考タイムが出ていますが、何回か歩いているので7掛けで行けるとか5掛けで行けるとか分かるのであって、まったく行ったことのないところは参考タイムかそれ以上の時間で考えることにしています(注:同じ昭文社のエアリアマップでも著者によって基準が異なります=井上)。
 ツアーについても募集要項と地図、その他の情報からシュミレーションは可能だと思います。分析の結果、危ないと思えば参加しないことも選択枝のひとつになるでしょう。
(5)ツアー登山について
 まったくの他人が十数人で山に登るのですから、体力のばらつきがあるのは当然、経験や装備もバラバラでしょう。
 前に参加したことがあるツアーでは、一参加者なのに疲労で白目をむいた人の介助までしたことがありました。この人は、発作を起こす持病を隠して参加していました。
 休息時間や行程にゆとりがないツアーは、危険を増します。
 一方旅行業法では、募集時の行程をすべて行わない場合は契約違反になるのでどうしても強行することになるのでしょう。
 これが、ただバスに乗っての観光地めぐりなら深夜に及んでも致し方ないでしょうが、人が歩かないと目的地に着けない山歩きですからお客さん頼りで難しい面があると思います。
 また、怪我人のサポートも2名程度のガイドでは無理があるし旅行会社の危機管理意識も低いように思います。
 料金を払って、休みを取って来ているのに予定通り行かないのは、一般参加者にしてみれば大変迷惑なことも分かります。
 しかし、長い目で見れば安全優先で中止を決断した(ガイドがいる)旅行会社の方が信頼がおけると思います。
 山の上では通信手段も限られてきます、地上波携帯電話は使えないものと割り切ることも必要だと思います。


送信日時: 2005年8月9日 件名: 登山者情報第940号に寄せて 稲葉 充・かおる
井上様、ご苦労様です。
ツアー登山に関してのブレーンストーミングを提起されておられる主旨から、若干、道をはずれるかもしれませんが、わたしたち夫婦が感じたことを書かせてもらいました。書けなかったこともあります。
@7月31日の夜に添乗員が会社に電話したのはわたしの携帯電話からです。添乗員は通信手段を持ち合わせていなかったのです。
A7月30日の夕方、五郎清水の北側の崖(露岩しているところ)で4頭の熊(親子か?)を見ました。ほかに梶川峰では猿もカモシカもみました。遭難者が動けずにひとりビバークすることになったらどんなに切なかったかと思います。

「判断ミスだな」と静かに親父さんが“添乗員”に話していました。7月31日の救助のあった日の夜の、梅花皮小屋の管理人室でのことでした。添乗員の若者は、ひと言ひと言素直に聞いていました。添乗員にとって、どんなに管理人の親父さんの経験に裏打ちされた言葉が心に響いたことでしょう。関さんに諭され諭され、翌日の下山を決めたのは賢明であったと思います。僕ら夫婦はお二人の会話を聞きつつ、大きく変わった山の雰囲気を、うすぐらい灯火の下で感じていました。
7月31日の遭難では、ツアーを中断して山を降りるべきだったと思います。ツアーの皆さんが梅花皮小屋に入場したのが午後3時ころだったと思います。到着後、きちんとサークルになってクールダウンのストレッチを添乗員さんの指導のもと行っていました。ツアーの皆さんは飯豊の山稜にふれて満足そうでしたし、とっても厳しかったとも話されていました。しかし、ガイドは戻る判断をすべきだったのです。
8月1日朝4時に起床し、ホットスープを飲んだところで添乗員の方からツアーのみんなにツアーの中止を告げる場にも居合わせました。自分よりはるかに年上の、親のような年齢の方々ばかりの中で添乗員さんは、それでもしっかりと下山される旨のことを告げ、懸命に説得されていました。ツアーのみなさんも素直に従っていたかと思います。ツアーの皆さんが添乗員さんの説明と宣告を素直に聞き従ったことが、大難を小難に留めるうえで大きかったのではないでしょうか。添乗員さんに、そのように指導された梅花皮小屋の管理人さんにはほんとうに頭が下がります。また、ツアーの皆さんの明るく、紳士的な態度も大難につながりかねない今回の事態を、より小難にもっていったのではないでしょうか。それにしても、ガイド〜スタッフがあまりに少なすぎます。ツアーを企画した会社は大いに反省しなくてはならないでしょう。また、無線機などの連絡手段を少なくともダブル回線で携帯するよう会社は取り計らうべきだと思います。
わたしら夫婦は偶然居合わせたわけですが、ずいぶん勉強になりました。飯豊を訪れたのは22年振りですが、大きく変わった人的環境を強く意識せざるを得ません。
ツアーの皆さんはどうなされているのでしょう。下山路は、登ってきた梶川峰を“一度通ったことがあるから”と選択されていましたが、無事下山できたかず〜っと心配でした。わたしら夫婦も同行すべきだったかもしれません。わたしら夫婦は丸森を降りました。ふもとについた時に山荘のおばちゃんと出会いましたが、かのツアーの皆さんが下山したのだろうかと心配されて梶川路の取り付きのほうを心配そうに見に行かれていました。山荘にひと言の挨拶もなく帰路についたとは思いたくありませんでした。
僕らは多くのひとに支えられて自然の中に分け入っていること、地元のひとに助けられて飯豊の自然の美しさ・厳しさを享受できていることを忘れてはならいないと思います。帰りに立ち寄った(学生時の地質調査の際、下宿した)長者原のFさん宅でおばちゃんが話していました。「むかしは五郎清水までの梶川峰を、村のしょで草刈りした。わたしも何度も草刈りして登った。五郎清水は本当に美味しい水だ。」地元の皆さん、井上さん、関さん、みなさんのおかげです。


送信日時: 2005年8月9日 件名: 滝見場骨折事件について メール名匿名・テントミータカ
上記事件の私見・感想、述べさせていただきます。
@、まず、ツアー会社の付き添い無し判断、第一に責められる。救助依頼かけるならば、怪我の本人単独以外なので、怪我人の生命保持第一に考えれば、明らかな事です。いくら怪我人が辞退しても、怪我して救助要請している以上は、この鉄則、守って頂きたい。付き添い辞退した怪我人にも、驕りが感じられる。もし、他のアクシデントが重なり、これ以上の重症となった時のこと考えれば、回りの判断に任せたほうが正解でしょう。
A、ツアーの添乗員・ガイドの少なさに疑問を持つ。普通の山岳会でも、完全にメンバーの体調・動向を把握するのに、一人4.5人が限度と考える。一般的なツアー会社、今回の規模で、よく有名山岳歩いているが、傍目にも、危なっかしく見える。
B、飯豊・朝日にも、とうとう、この手の救助要請が出るようになり、人気山岳の仲間入りかと、認識を改めた。営業・営利小屋が、ほぼ無いに等しいこの山域に、大規模な営利目的のツアー会社が乗り込んでくる。営業小屋が、多いアルプス・有名山域と違い、小規模な救助体制の受入側の事情察し、どのコースでも厳しい飯豊を歩く認識深め、余裕を持った日程で、慎重に計画して欲しい。
C、ツアーに参加する方は、ツアーの内容良く検討し、飯豊朝日の経験者にツアー内容への参考意見、聞いて欲しい。歩いた者にしか判らない、飯豊の特筆すべき、歩き始めからの急登・特に真夏は、灼熱地獄も重なり、どんなベテランでも、飯豊初心者には、相当手強い山域です。私個人、以前、冬の南アルプスで単独遭難事故起し、幸いにも、周りの単独登山者・ワンゲルの尊い救助努力により、命拾い。復帰、各地山岳を歩いております。当時の関係各位のご尽力、身に沁みて感謝しております。各山域歩いていますが、飯豊朝日は営利目的ツアー登山・百名山ピークハンター登山には、相応しくない山域と、認識しております。
乱筆乱文にて、失礼しました。井上様はじめ飯豊朝日遭対協、関係者様、方々の、ご心痛ご心配、肝に銘じ、慎重に歩きます。有難うございます。