失われたトランジスタ2SC1971を求めて・・・中国浙江省杭州市・上海特別市に出動!!(番外編)

 ああ、そういえば表題の「失われたトランジスタ2SC1971」を忘れてました。
 そもそもこれが何で「失われたトランジスタ」なのかっていうと、この部品は昔からよく送信機の最終段、つまりアンテナに向けて電波を増幅して送り込むためのアンプに使われてたんです。結構ポピュラーなトランジスタで自作する人にとっては扱いやすい品種でした。

 でも、時代は流れこの品種も製造中止に。一方愛用者は多く、また旧機器の保守用に結構需要はあったと思われます。それで現在でもなお需要は高く、国内の部品屋では軒並み品薄、または品切れになってしまいました。
 オークションに出ることはあっても1個3000円とかつての10倍の値を付けています。ところが何でも中国製2SC1971があるという部品屋さんの在庫リストに記述があり、本当にそんなものがあるなら実際に行ってみて、もし本物なら買ってこようということになったわけです。
 もし本物ならというのは、マークだけを書き換えた「リマーク品」というのが実際に存在しているらしいという話も聞いたからです。

 そこで上海の電気街を歩き回り、めぼしい半導体屋に聞いて回ったのですが、なんと無造作にざらざらっと問題のトランジスタが出てきたではありませんか。


 さて、よく見てください。一番左が本物(オリジナル三菱電機の1971ただし私の不注意で電気的に破壊されている)、次の2個が今回購入したもの。真ん中のはモールドの色味が黒くなっていて表面のうえ二隅にぽつんというへこみがありません。一番右はモールドの色が白っぽく、へこみがあります。その他の寸法や端子はオリジナルと同一と言っていいでしょう。裏から見るとますます見分けがつきません。ただマーキングはロゴがオリジナルより小さめでなんだか怪しいといえば怪しいです。

 データシートを見るとhfe(増幅率)が平均で50位あるのが普通です。高周波Trですからそんなに大きくなくて良いのですが。このトランジスタの静特性をもっとよく調べてみないことには失われたトランジスタを発見したとは言えなくなってしまいます。

 そこで、ベース電流ごとのコレクタ電流とエミッタ−コレクタ間の電圧をグラフ化した、データシート2ページ目の真ん中右側にあるような特性曲線を見てみることにいたします。
 さてそのための測定器が「カーブトレーサ」という機械です。下の写真をご覧下さい。(岩崎通信機 TT-506)職場の大先輩Mr.GO!GO!にお願いして出してもらいました。私も使ったことがないのでいろいろレクチャーを受けつついじってみました。

 さて、この機械、オシロスコープに似てますが、手前の出っ張ったところが試料のTrを載せるテーブルになります。各種ソケットやら端子が出ていますね。これは左右対称になってて、比較したいTrを左右に装着し上のツマミで左右を切り替えながら特性を比較するという用途に使われます。もちろん特性の似たものを選別して使用するためです。

 

 似てます。似てますけどコレクタ電圧6Vでベース電流を14mA流したら0.8Aコレクタ電流が流れてくれるはずなんですが、この画面では0.6Aまでしか伸びてませんね。見た限りの印象としては、使えなくはなさそうですが。ベース電流を14mA流してコレクタ電流が800mAですから、直流増幅率は57くらいでしょうか。10個ほど買ったものがあるのですが、みなロット番号はバラバラ。

 あとは実際に高周波回路に入れてどれくらいの利得を見せてくれるかということですね。これはそのうちに報告をすることといたしましょう。