歯は大切です、ムシバや歯周病にならないようにハミガキをしましょう! なんて大声で言っているのは歯科医だけ??
歯がなくなるとボケたり、寝たきり老人になる〜なんて騒いでも、世間の人たちは、口で言うほど(?)口の中の健康を真剣に考えてはいないかもね!
そんなヒトたちは 次のエッセイを読んでよ! 口の中の働きと大切さが本当によくわかるから・・・・。入れ歯や歯っ欠けになってはこんな楽しみが失われてしまうんだ(もうなってしまったヒトはあの頃を思い出してネ 残念無念)


タコ焼きの科学(赤瀬川原平:ごちそう探検隊、ちくま文庫ISBN4-480-02844-7)

 タコ焼きは熱い。しかも丸い形をしている。だから口に入れると、洞穴のような口の中をコロコロと転がる。一箇所にじっと止めていると熱くてそこの粘膜がヤケドしそうになるから、それを回避しようと舌が動いて、熱いタコ焼きを移動させる。そのとき丸い形が生きてくるわけで、タコ焼きの熱さを口腔粘膜の各所に分散させながら、口の中をコロコロと転げ回る。
 そうやってタコ焼きの熱が押さえられ、体温との差がなくなってくると、タコ焼きはやっと一箇所に落ち着き、それを載せた下の歯に向かって上の歯がぐっとおりてきて、タコ焼きを潰す。
 つまり噛むわけで、タコ焼きの丸い形はぐじゅっと破れて、中から身といしょにまた熱さがひろがり出てくる。
 太陽においてもその表面温度五七八Kに対して中心温度一五〇〇万Kであるが、タコ焼きにおいてもその表面より内部が熱い。それがおもいがけず露出して、口腔粘膜はまた慌ててタコ焼きから逃げようとし、全員が責任を他人に押しつけようとするみたいに、タコ焼きはふたたび口に中をタライ回しにされて転げ回る。そのとき唇は半開きとなり、場合によっては、
「フハフハ・・・・・」
というような音とともに熱気が外に出てくる。あまり唇を全開にするとタコ焼きが外に飛び出し、地面に落ちてソンをするので、それを警戒しながら唇は半開きとなるのである。
 それもやがて収まり、タコ焼きの過剰する熱が失われて体温とほぼ等しくなったところで、上顎と下顎はもう一度活動を開始する。上の歯と下の歯は本格的に上下運動にはいるわけで、タコ焼きの小麦粉マントルは不定形となって味の放出をはじめ、そのマントルに包まれていた内部核のタコのカケラがようやく姿をあらわす。
 その内部核がはたして存在するのかしないのか、それは粘膜の間でもさまざまな憶測があり、タコ焼きといっても本当のタコが入ってるわけはないですよ、というような噂も乱れ飛んで、その観測の中枢をつかさどる舌の先も、それまでは半信半疑でタコ焼きを転がしたりしていたわけである。
 それがようやくタコのカケラを確認し、舌の先はそれを押さえて、上下の顎の筋肉にもう一度業務連絡をする。それを受けて上下の歯が小踊りしながらタコのカケラに近づき、ゆっくりと噛み潰しながら、その歯触り、弾力、裂け方の具合などで、それが紛れもなくタコであることの事実を口中に伝えるわけだ。口の中ではすべての部位がその情報に湧き立ち、粘膜の間には拍手さえ湧き起こり、その波が洞穴のような口の中全域を駆けめぐる。それはときには口中を漏れて出て食道を通り、胃袋の内壁にまで達するという。
 そうやって一つのタコ焼きの組成と構造が解明されて、その一部始終を観測していた脳髄の食品部タコ焼き課には、深い満足が訪れ、感覚はゆっくりと味覚の収集、確認、保管、鑑賞へと向かうのである。
              *
(以下省略、購入して続きをどうぞ!こうしておけば一部転載を許して貰えるかな?)
どこかの歯科大学での生理学の講義よりよほど分かりやすく、「ロウソクの科学」よりもためになったでしょう! そんなことよりタコ焼きが食いたい?





天下一品丸かじりのすすめ(東海林さだお:東海林さだおの弁当箱 自薦・特選あれも食いたいこれも食いたい、朝日文芸文庫ISBN-02-264067-7)

 丸かじりは痛快である。
 食にまつわるもろもろの取り決めを一蹴して潔い。
 かじりつき、食いちぎる、という行為は、食べ物の食べ方の基本である。
 原始にかえったような楽しさ、壮快感がある。
 食べ物を、生き生きと食べることができる。
 懐石料理などの、チマチマ、コマゴマ、ああしちゃダメ、こうしちゃいかん、アッ、それダメ、それやめて、といったバカバカしい約束事からすべて解放される。
いま、丸かじりの風潮が世の中から失われつつあるが、これは嘆かわしいことである。
 あらゆる食べ物が、小さく、柔らかく、食べやすく調理されている。
 だいたい大口を開ける、という機会が現代人にはほとんどないのではないか。
 いま、ちょっと思いきり大口を開けてみてほしい。そう。口というものは、そこまで大きく開けられるものなのだ。
 たまには大口を開けて、アゴの機能をトコトン発揮させてやることも必要である。
 どんな食べ物でも、それを食べるときl,これは丸かじりできるだろうか、ということをこれからは考えてほしい。
 意外にたいていの食べ物が丸かじりできることに気がつくはずだ。
   (以下 略 :続きは買って読んでね。)
漬け物もソーセージもカンピョウ巻きも あのハグキに伝わる触感があって初めてうまいものだと改めて気づくから!

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