☆旧建設省が「リニア地下鉄がベスト」に異論あり!☆
(2000/11/20発行、2001/1/21一部改編)


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 仙台市が「東西線」の機種選びをお願いした「東西線機種等検討委員会」が「リニア地下鉄が導入する機種としてベスト!」と結論したのはすでにご存知の通りですが、この結論に対して、旧建設省が異論を出しているという報道※がありますので、紹介しましょう。
※「新交通システム」第1083号(平成12年11月8日発行)P2〜4
 それによりますと、新交通システムとリニア地下鉄の2つを、採算性、輸送力、エネルギー効率、維持費など一定の条件のもとで総合的に比べると、地下方式で新交通システムを整備したとしてもリニア地下鉄より効率的、との結果が得られたとのことです。その理由をまとめますと
 ○リニア地下鉄は、動力にリアクションプレートが必要なことや、電気設備・車両の費用などで、新交通システムの総建設費はリニア地下鉄にくらべ、明らかに安くなる。

 ○新交通システムのトンネルの大きさは、リニア地下鉄と同じであり、かつ車両の長さが短いことから小さなカーブにできる。また、カーブでのトンネル拡幅量が少なくて済むことから、一般にインフラ建設はリニア地下鉄にくらべやや安くなる。

 ○動力費など維持費についても、新交通システムの方が大幅に安く、採算性においても優れている。(新交通システムでは、走行面の凍結防止ヒーターの消費電力も動力費に入れていますが、それでもリニア地下鉄より15〜27%も安い!)

 と、地下に新交通システムを導入したとしても、リニア地下鉄より効率的であるとの結果が得られた、というのです。もちろん、この結論は、仙台市長さんが「専門家の意見なので」とリニア地下鉄に決めた根拠にした「東西線機種等検討委員会」の結論と真っ向から対立します。
 さらにこの報道で、「建設省においても、今後、地下インフラシステムに対する補助制度の適用を進めるとともに、制度の拡充を図って行くことの必要を認識し、この実現に向けて取り組んでいくことが必要かつ重要であると結んでいる」とあります。
 ちなみに、この「地下インフラシステムに対する補助制度」というのは、文章から、補助対象は地下に新交通システムを走らせる場合に限っていないことがわかります。もちろん、リニア地下鉄よりも新交通システムの方が(東西線での検討結果では)優位、としているわけですから、リニア地下鉄を唯一と言っているわけでもありません。
 つまり、一部を地下線にしたLRTシステムも補助の可能性に入れていると言えます。LRTは、道路の上だけでなく、JR線のような専用の軌道や地下・高架線も走らせることができます。LRTだって、地下線の部分はりっぱな「地下インフラシステム」なのです。
 それに、この旧建設省の検討では「リニア地下鉄にくらべれば新交通システムの方が優位」とは言っていますが、「新交通システムが『東西線』にはベスト!」と言い切っているわけではありません。
 また、「新たな導入空間の確保が困難な都市において地下方式で整備した場合、新交通システムの方が効率的」とは言っていますが、「『東西線』では全線地下以外はダメ」と言い切っているわけでもありませんし、ましてや『東西線』の今のルート案がベストと言っているわけでもありません。
 つまり、「東西線」には新交通システムがベストと限っているわけではありませんし、「全線地下」の路線や今のルートがベストである、と言い切っているわけでもありませんから、もっと使いやすい形でのLRT導入の可能性だってちゃんとある、ということです。
 仙台市が「東西線にはリニア地下鉄がベスト!」と決めてしまっている一方で、国の機関である旧建設省が、それとは違う意見を発表しているのです。
 「東西線」計画を担当している仙台市都市整備局のみなさん、機種選びについて、建設省は仙台市とは違う意見を出していますが、これに対してこれからどうやって説明なさるんですか?みなさんが決定した「東西線はリニア地下鉄しかない」という合理的な理由を。
 私たち市民からの「リニア地下鉄東西線」採算性の疑問に対して、スジの通ったご説明をされずに「採算性だけでなく『波及効果』も期待」というような説明をされているに留まっています。その「波及効果」というものは具体的に何なのか、全く見えません。
 「波及効果」なら、駅の少ないJR東北線に駅を増やしたり、貨物線を旅客化するだけでも得られるのではないですか?「東西線」をLRTにして、ルートも、今まで鉄道のなかった地域である若林区の南の方に下げても「波及効果」が出るのではないですか?
 「リニア地下鉄東西線は波及効果が期待できるから・・・」と私たち市民に向けたご説明、旧建設省も入っている国土交通省の方々には通用するんでしょうかね?「よその都市のリニア地下鉄ほどカネがかかる保証がないから、仙台ではずっと安く済んで採算も大丈夫」というようなご説明で納得してもらえるんでしょうかね?
 今回の旧建設省の検討では、今までの実績をモトに具体的な数字が出されています。仙台市のみなさんだって、「リニア地下鉄が建設費や採算面でもベストですよ」という根拠を具体的な数字をもって説明しないと、納得してもらうのはムリでしょう。私たち市民にもついにお見せ下さらなかったその数字、国土交通省の方々を頷かせる「ウルトラC」になるのでしょうか?
 お相手は都市交通の総元締め、プロ中のプロと言える部署ですからね。私たち市民すら納得できないご説明で、「プロ中のプロ」を頷かせることはできるのでしょうか。国土交通省は鉄道運営の許可を出す官庁ですから、首をタテに振ってもらわなければ、「リニア地下鉄東西線」は「絵に描いたモチ」になるでしょう。
 ま、その「ウルトラC」とやらを使ってがんばって説得なさってみて下さいナ。忘れないうちにお願いしておきますけど、説明をなさったときは、その「ウルトラC」の中身をきちんと私たち市民にもお教え下さいネ。
 もちろん、今の「リニア地下鉄東西線」がダメと言われたときに、「リニア地下鉄しかないから」と言って計画をたなざらしにするなんてことも、ナシですよ。交通計画の見直しが必要になったときに、見直しのジャマになるといけませんから。市民のみなさんご存知の通り、今の仙台の交通の改善の必要性は「待ったなし」なのです。
 最後になりますが、この報道には、最後にこんなくだりが書かれています。

 「いずれにせよ、地球に優しい環境づくりを実践するには、政・官・民の協力が前提条件であり、それぞれの『都市にふさわしい交通を整備する』ことはもちろんのこと、関係する企業側においても、社会的倫理を重んじさらなる勉強する必要が求められよう。
「新交通システム」第1083号(平成12年11月8日発行)P3より

 この文章を意味深に感じてしまうのは、私ひとりだけでしょうか?