登山者情報2,155号

【2019年02月26日/三県山岳遭難対策合同会議/井上邦彦調査】
 小国町で「平成30年度飯豊連峰を囲む三県山岳遭難対策合同会議」が開催された。講演はAUTHENTIC JAPAN鰍フ八木澤美好氏よる「ココヘリは山岳遭難者の捜索を劇的に変える!」である。 幾つか質問をさせていただいたので、備忘用として記載しておく。
 なおココヘリとは、ヒトココを貸出して登山計画書による下山時期が過ぎた場合はヘリコプターで捜索する契約である。当然のことであるが、契約は個人が対象となり、別な人が使うことはできない。団体装備とすることは契約違反になる。
・ 2mの積雪下に埋まっていても受信できた。
・ 使用している電波の性質上、水は通過できない。人間の身体は水分が多いので、首に下げたり胸ポケットに入れうつ伏せに倒れている場合は、電波が遮断されて受信できない。身につけるのではなく、ザックに入れておくことが望ましい。
・ 雪渓の亀裂に落ちた場合、岩や氷に反射した電波を受信できる可能性がある。
・ 雪渓に落ち水流に流された場合は、受信ができない。
・ ID番号が不明な時にも捜索できる親機を開発した。
・ ドローンにヒトココを括り付けて捜索する方法は上手くいかない。AUTHENTIC JAPANでは、ドローンに中継装置を取り付けて、操縦者が手元で親機を操作するシステムを開発中であり、ほぼ完成している。
・ ドローンは高度が低く、視認できる範囲でのみフライトすることになるので、捜索範囲が限定される。状況によっては自動操縦を採用する必要が出てくるだろう。
 その後、小国町の飯豊朝日山岳遭難対策委員会中央班長である齋藤弥輔や喜多方市消防本部、村上市消防本部から事例報告があった。
 小国町では昨年、10件の遭難があり、うち8件が登山によるものであった。この中で8月5-6日に勘倉峰の事案は、遭難者が持参していたココヘリを地上隊として出動した齋藤が受信して、救助となった。
 喜多方からは7件の事案が報告された。その中で7月1日に発生した事案は、大日杉から入山して切合小屋直前の雪渓で滑落したものであった。
 次回の開催は胎内市とする。
小国町長の挨拶
小国警察署長
八木澤氏の講演
ココヘリと私達が使用しているヒトココ
質疑応答
齋藤弥輔中央班長による事例報告

終わり