前のページで、クルマは、電車だけでなくバスよりも1人あたりのスペース効率が悪い、言い換えれば、同じ人数を運ぶのにベラボーなスペースを取る「場所くい虫」であることが「しっかり」お分かりになったでしょう。しかも、この「場所くいパワー」はこれだけでは済まないのです。そう・・・ |
目的地での駐車が必要なのです。路上駐車(略して「路駐」)はご法度!! それこそ渋滞のモトの1つで、決して許される行為ではありません。従って、どんな形にしろ駐車場が必要なのです。 |
そうしないと、仮に莫大な資金をかけて広い道路をたくさん造ったとしても、どうなるかは・・・ 「推して知るべし」でしょう。 |
下の写真は約900台駐車可能(著者推定)の立体駐車場です。これは、仙台市内の駐車場ですが、もし「クルマを徹底的に便利な街に」の御旗の下に都市計画を作って、これと同じモノを中心部の各所に建てると仮定して話をしてみましょう。一見良さそうな気がするのですが、如何に? |
(左)仙台市内にある大型立体駐車場。(手前の小さい建物は別の施設) これを、「クルマを便利にする」ために街の中心部にたくさん建設すれば一見良いような気がするが、実はとんでもないことになるのでは? オマケにカネもかかるし、中心部にそんなにまとまった土地が簡単に手にはいるとは思わないし・・・ |
この駐車場を満車にしても取り込める人の数は、先の1台あたりの平均人数をかけても約1100人。電車に換算して約2本分に過ぎません。こう聞くだけで、大駐車場をたくさん造るくらいなら電車に人を運んでもらった方がよっぽど効率的なのはお分かりいただけると思います。 |
しかも、中心地で大型駐車場を建てるのがどんなに困難かは、みなさんの方が良くお分かりでしょう。土地代は高いし、第一建てるスペースなんてそんなにないし・・・ |
もし建てたとしても、いろんな方面からたくさんのクルマが集中!中心地では、快適な移動を目指して造ったはずの大駐車場が逆に渋滞のモトに成りかねません。 |
「駐車場の階数を増やしたら?」と言う声があるでしょうが、それでも、駐車場の中をグルグル回りながら上り下りしなければならないし、駐車場の中はスペースを探したり車庫入れで道をふさぐたくさんのクルマで大混乱、たとえ留めても今度はエレベーター待ちや階段の上り下り・・・ 結果としてやっぱり不便になることでしょう。 |
(左)仙台市内にある大型郊外店舗の立体駐車場。 この駐車場は、収容台数約2100台を誇るという。これだけ広ければ、一見、たくさんクルマを留められるので駐車場待ちがなくて便利そうな気がするが・・・ (右)この店舗近くの道路で休日に見られた駐車場待ちのクルマの列。駐車場を広くすると、その駐車場を目当てにたくさんのクルマが押し寄せる。駐車場の収容能力を超えるクルマの量が押し寄せれば、収容しきれないクルマは路上にあふれることになる。 そして、駐車場が広いということは、休日などは駐車スペースを探したりするのに苦労する。たとえ留めることができたとしても、広い駐車場構内を移動することになって結局不便になる。 駐車場を大きくしたからといって、必ずしもクルマが便利になっていない実例と言えよう。 |
では、逆に大駐車場をたくさん増やしたら? もちろん、建てるためにはまとまった広い土地が必要で、立ち退きを余儀なくされる店や施設も多くなるでしょう。たくさんの種類の店や多様な機能が中心部にひしめき合ってはじめて魅力の出る中〜大都市、駐車場を増やせば今度は中心部が「虫食い」に・・・ |
今度は人を呼び込むために増やした駐車場が皮肉にも人を減らすことになるでしょう。
・・・とゆーことは、どっちみち中心部の魅力だけでなく最悪の場合都市機能までがガタ落ちに・・・
うーん。うまくいかないモンですな。 |
交通問題解決の第1案の結論: |
|
ゆえに中〜大都市では、単なる道路整備だけではカネがかかる割に良い事が得られない。(これを「コストパフォーマンスが悪い」と言います。) |
従って、交通問題解決の第1案は・・・ |