「税金」は「贅金」ではなーい!






 さーて、そんなカネ、どこから出てくるんでしょう?・・・ それを理解するためにみなさんと、市が発表している「資金計画」というものをここで見てみましょう。
      
  1. 出資金: 市負担額・約540億円   
  2. 補助金: 市負担額・約680億円、国負担額・約610億円   
  3. 借入金: 約880億円
数字強調は著者 
 この数字は、平成10年11月24日に開かれた「第1回・21世紀のまちを育む東西線シンポジウム」(仙台市主催)で配られた冊子「東西線計画の概要」の中の数字です。こうして改めて見てみると、大してたまげだ「大金」だ!
 しかも、出資の名目もイロイロだ! ゴチャゴチャしてよく分からない。

 ん、待てよ。名前はイロイロだけど、市が「出資」したり「借金」をしたり、イロイロとカネをかき集めているみたいだけど、そのカネはどこから出て誰が返すんだろ・・・?

 なーーんだ、何のことはない・・・

私たち市民(国民)の税金だ!!!
 ところで、市民1人あたりの負担ってどのくらいでしょう。上の数字で、国からの補助金(これもレッキとした「税金」)を除いた金額を足して、仙台市の人口(約100万人)で割ると・・・
約21万円!!!
 ちなみに、この大金の負担者は働き盛りのお父さんだけではありません。仙台市の全人口で割った数字ですから、生まれたての赤ちゃんからおじいさんおばあさんまで全ての人が1人あたり負担する金額なのです。
 だから、4人家族なら約84万円・・・
 一家でこれだけのカネをこの計画に「捧げて」るんだーー!
 ・・・みなさんどう思いますか? これでも、「仙台東西線問題」に対して、「オレには関係ねーよ」とか「勝手にやってろ」って言うつもりはありますか? これだけの大金をなくしても「まあいいか」と言うほどおおらかな人は、仙台市内にはいったい何人いるでしょうか?・・・
 また、「国の補助金」も「私たち全国民が払った血税です。そう思うと、他の都市の人だって「対岸の火事」ではないでしょう。
 こうしてみると、地下鉄の鉄道事業って、すごい額の「私たちの税金」をつぎ込むんだ、って改めて思いませんか?・・・
 えっ?「こんな大金が取られている感じがしない」ですって? 確かに、その言葉は分かりますね。
 商店を経営されているような方は年に一度の「確定申告」で税金を納めますが、会社に勤める人や公務員は、毎月の給料から「源泉徴収」という形で税金が差し引かれているのはみなさんご存知の通りです。
 あなたの給料明細書でその差引額をじっくりと眺めたことはみなさんおありでしょうか? 毎月、ある金額が税金として差し引かれていることと思います。つまり、「税金の月賦」みたいなモノです。
 「毎月少しづつ(でもない)」金額を払うのは、確かに一括払いよりもラクでしょうが、逆を言うと、「少しずつ常に支払っている」ことで「納税意識」が薄くなっているのではないでしょうか
 消費税だって似たようなモノです。消費税に重税感を持つ人は少なくないでしょうが、「少しずつ常に支払っている」ことが、「消費税を支払っている」という意識を薄くしている向きがあるのも、これまた事実でしょう。
 かく言う私だって、1年で消費税をいくら払っているのか、分かりません。意識したこともあまりありません。もし、ご自分の支払額を計算した、というような方がいらっしゃいましたら、お知らせ下さい。

 いくらになるか、ワクワク・・・ いやいや、ゾクゾク

 つまりここで言いたいことは、同じ金額を取られるにしても、一括か分割かで「重税感」がまるっきり変わってしまうということです。
 前のページの、「4人1家族84万円」だって、「分割払い」という形で取られている税金から出されているわけですから、みなさんの大部分は、「自分が払っている」という意識が薄いでしょう。
 もしこれが、納税担当者が仙台市内の全家庭を一件一件回って、あなたの家で「東西線建設のために84万円を徴収します」なんて言うようなことがあれば、あなたはどう思います? それでも「『自分が払っている』という感じがしない」という人はどれだけいるでしょうか?
 つまり、「『自分が払っている』という感じがしない」というのは

「朝三暮四」

状態に気づいていない表れなのではないでしょうか? 私たちは、このことを忘れてはならないでしょう。

 私は、「税金を払いたくない」と言っているワケでは決してありません。税金のない国家など、存続し得ないからです。ただ・・・
「せっかく大金を払うのなら、合理的に、本当に『実際の利用者』のためになるモノを造って欲しい」・・・
 ただこれだけです。
 「2710億円」(状況によってはこれより高くなることあり)という莫大なカネも、繰り返し言いますが、「私たちの税金」です。このカネは、みんなから集めたカネですから、必要性を明らかに越えた過剰投資や不合理な使われ方をされても良い金・・・
 つまり、「湯水のように贅沢に使える金(略して「贅金」と勝手に呼ぼう。)」ではないし、そうであっては決していけないのです。

 ここで、声を大にして言いたいことは・・・

「税金」は「贅金」ではなーい!

 (「税金」と「贅金」は、よく見るとどっちも「ぜいきん」って読むんだなー。全く違う意味なのに。
 日本語って、おもしろいな。)

 地下鉄でも何でも、導入されるその都市で、大多数の人から「クルマを乗り捨ててでも使いたい」と支持され、当初の目的を充分に達成できるシステムであれば、たとえ多額のカネがかかったとしてもそれは「贅金」とはならないと言えるかも知れません。
 ところが、「仙台東西線」の場合はどうでしょうか? 「地下鉄」導入は、莫大なカネをかけた割にはクルマとの競争に勝てなくなってしまう「『贅金』投入」、ということにはならないでしょうか?
 こう私が考えている詳しい理由は、おいおいお話ししていきます。
 みなさんの住んでいる都市では、どんなシステムならば「『贅金』投入」にならずに済むでしょうか? このサイトにいらしたことをきっかけに、みなさんにもお考えいただければと思います。
 ・・・えっ?「リニア地下鉄は南北線のような普通の地下鉄より建設費が安いと言われているからいいじゃない」ですって? チッチッチッ! おじょーちゃん、悪いおじさんにダマされちゃいけねーよ。その「安い」と言われているリニア地下鉄だって決して「安い」とは言えないんだってばー。
 細かい話は、次のページへ、GO!!



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