Part 3 あなたの知らない「21世紀にぴったりのスニーカー」
    教えます


「LRT」ってなに?




 さて、やっとここまで来ました。大都市では、都市交通をクルマに全面的に頼ることがどんなに無謀であることか、そしてコスト安と謳われている「リニア地下鉄」は、仙台の場合、実はこれからの時代の要求に答えられるシロモノではないのではないか、ということをお話ししてきました。
 他のモノレール、新交通システムなども「シンデレラ」ではないだろう、ということもお話ししました。では、これからの時代の要求に答えられそうな「超有望株」とは何だろうか、ということをいまから私なりの意見としてお話しします。
 それは、今ヨーロッパやアメリカの多くの都市で増殖中、我が国にももう飛び火寸前というシステム「LRT」(英語でLight Rail Transitの略)です。
 このサイトのタイトルをご覧になったときから「へっ?『LRT』って何のこっちゃ?」と思っていらっしゃった皆さん、まあまずは下の写真をご覧下さい。



 (左)ロサンゼルス(米国)、(中)ハーグ(オランダ)、(右)ストラスブール(フランス)のLRTに使われている車両(LRV)。

 車体の大きさは色々だが、従来の鉄道に比べて小型であることが多い。車体の小型化と高い走行性能を併せ持つ。交差点の信号は電車優先、レール(軌道)は電車専用で地下鉄に劣らず速い。それだけでなく、LRTは路上を走ることが多いため、乗り降りが地下鉄などよりはるかに楽である。建設費も安く、工事も地下鉄より簡単で早く完成できる。「速い」「安い」「使いやすい」3拍子そろっている。その他、利点がいっぱいのLRT、詳しくは本文を読み進められたい。

 諸外国ではLRTはたくさんの先進国の都市で今現在「増殖」している。それは今の「クルマ社会」の中でも非常に便利である証拠であろう。LRTは、「クルマのジャマ」でも「時代遅れ」のものでも決してない。もしそうならば、多くの自動車先進国で普及するはずがないからである。

 我が国でも早くこのことに気づいて、LRTを上手に使って、本当に「人に優しい」街を目指して欲しいものである。

写真:
(左)(中)佐藤 茂 氏(仙台高速市電研究会)のご厚意により掲載
(右)建設省パンフレット「路面電車の活用に向けて」平成10年1月発行



 これら3枚の写真はいずれも、もうすでに外国でバリバリに活躍しているLRTに使われている車両(乗り物だから「LRV」といいます)です。
 これらの写真を一目ご覧になった印象はいかがでしょうか?「きれい」「カッコいい」「かわいい」「なんか頼りない」「クルマのジャマだ」・・・色々な印象をお持ちのことと思います。
 これからみなさんに、こんなにいろんな第一印象を持つLRTについてその「良さ」やなぜ「杜の都」仙台をはじめ多くの中〜大都市ではベストと思うのか、お話ししましょう。
 まず、LRTってなんでしょう。日本語では「新型路面電車」とか「高速路面電車」という呼び名が使われることもあります。また、JR線や地下鉄などの「大がかり」な鉄道を「ヘビーレール」と呼ぶことがありますが、LRTはそれに対して「ライトレール」とも言います。
 まあ、呼び名はこのくらいにして、どんなモノかということを一言で言うと・・・
 一言でなんか言い切れなーい! これからちょっとずつ、この一見「異国っぽい」乗り物について、その大きな「良さ」をお話ししましょう。「ぜひ我が街にもLRTを」と欲しがること請け合い・・・ となるでしょう。きっと・・・

 今しばしのおつき合いを・・・




 LRTは、1970年代後半より欧米をはじめ世界中で導入が進み、現在でも導入・計画中の都市の数が増え続けている。

 上のグラフはそれを示したもの。棒グラフはその年にLRTを導入した都市数、折れ線グラフはLRTが活躍している都市数の累積を示している。導入している都市の数はここ最近でも増加傾向であるのがお分かりと思う。

 LRT導入を進めている都市の大半は欧米諸国である。みなさん御存知の通り、欧米諸国は我が国に劣らない「自動車大国」である。その「自動車大国」で、今なぜ「路上を走る電車」であるLRTなのか、ということはこれからお話ししたいと思う。

資料出典:建設省パンフレット「路面電車の活用に向けて」平成10年1月





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