「重要な施策」ほど載らない?教えない?





 「仙台東西線」計画は、仙台市でも「21世紀の仙台を支える最も重要な政策」のひとつとして位置づけて計画を進めています。仙台市内では、鉄軌道が通っていない地域も多く事実上クルマに移動を頼らざるを得ない地域が多いので、鉄軌道の整備が必要なのは解ります。
 しかし、その計画によってできあがったものは、使う側の「お客様」が「クルマから乗り換えても使いたい」と思うような「魅力ある商品」でなければなりません。「納税者」である市民の期待を裏切るようなものであっては、決していけないのです。
 それを実現するには、言うまでもなく、情報公開を常に正しく行い、「お客様」であり「納税者」である私たち市民に、今進んでいる計画はどこが正しくてどこが間違っているかを問い掛けて、市民から返ってきた意見等を合理的思考を持って計画に反映する努力を怠っては行けません。
 つまり、情報公開による市民への問いかけは、「東西線」計画のような大プロジェクトであるほど、成功するために最低限必要な条件であるとも言えると思います。
 それなのに、この「仙台東西線」では、その「最低限必要な条件」もどれだけ実行されているか疑わしいようなことが実際に起こっています。それをここではお話ししたいと思います。
 平成11年9月9日、仙台市議会の一般質問で、「リニア地下鉄」想定下での「東西線」について、採算性や建設費などに対する疑問点が質問として出されました。
 市議会議員が議会で質問に挙げた事項とそれに対する回答のいくつかは、仙台市内では、「仙台市議会だより」という冊子にまとめられて全家庭に配られています。仙台市内の方はご存知と思います。
 これからの仙台の方向性を決めるほど重要で、仙台市の厳しい財政事情のなか多くの費用がかかるこの「東西線」に関する質問、しかも、「東西線」が「事業」として成り立つために重要な項目に関する質問ですから、この質問が「仙台市議会だより」に載っていて、市民の目に触れていて当然なはずです。
 市議会では、「東西線」に関する質問の他にも色々な質問が出され、学校のトイレなど学校施設の改善に関する質問も出されました。その「学校のトイレ」に関する質問と回答は「仙台市議会だより」にきちんと載っていました。
 「それなら『東西線』計画に関する質問や回答だってちゃんと載ってるだろう」と考えるのは普通の感覚です。そう思いながら「学校のトイレ」問題に関する質問が載っていた「仙台市議会だより」を隅から隅まで見てみたのですが、な、なんと・・・
どこにも載っていない
 のです。「仙台市議会だより」を見ると、「本会議における代表質疑と一般質問の中からいくつかを取り上げて、その要旨を掲載します」とあります。これを見れば、重要な項目ほど取り上げられるのが普通、とだれもが思うでしょう。
 確かに、トイレをはじめ学校の施設改善が重要なのは解ります。でも、同じ「市議会」で出された「東西線」に関する質問の方が載っていなかったということは、この冊子の編集を担当している「仙台市議会事務局」の方々は
 数千億円もかかる大プロジェクト「仙台東西線」計画に関する問題は、学校のトイレなどの施設改善ほど重要ではない、とお考えになった上で編集されたのでしょうか?
 普通の人が普通に考えたら、数千億円もかかって、しかも、建設費や採算性という重要な部分で問題 になっている「東西線」計画に関する問題は「学校のトイレ」問題に比べたらどうでもいいなんてことは、決してないと思うのですが・・・ みなさんのご意見はいかがでしょう?
 ここで少なくとも言えるのは、「大プロジェクト」でしかもこれからの仙台市の街づくりを左右する「東西線」計画の問題に関するやりとりが市民の目に触れにくくなっている事実がここにある、ということです。これは果たして、正しいのでしょうか?
 ここで問題にしている「仙台市議会だより」(平成11年11月第106号)の表紙。

 平成11年9月9日、仙台市議会の一般質問で、「東西線」の採算性や建設費などに関する質問が出された。市議会では他に、学校のトイレなど学校施設の改善に対する質問も出された。

 「学校のトイレ問題」に関する質疑応答はこの冊子に掲載されていたが、数千億円もの大プロジェクトである「仙台東西線」に関する質疑応答は掲載されていなかった。

 この冊子は、「本会議における代表質疑と一般質問の中からいくつかを取り上げて、その要旨を掲載します」とある。普通に考えれば、「東西線」のような、今後の仙台市の都市整備の方向性を決定づけるほどの重要施策に関する質疑応答が掲載されて然るべきである。

 この冊子を編集された「仙台市議会事務局」の方々は、「東西線」に関する問題は「学校のトイレ問題」に比べたら取るに足らない問題である、とお考えになっているのだろうか?

 私にはとてもそうは思えない。みなさんの御意見はいかがだろうか?





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