「人の先に立つ人」は「正しい審判」を!





 今まで長々とお話ししたとおり、私の住んでいる「杜の都」仙台のこれからの街づくりを大きく左右する「東西線」計画について、今のところは残念ながら「街の主役」である私たち市民に正しい情報がほとんど伝えられていない、という現実があることがお解りいただけたかと思います。
 「東西線」のような大きな公共事業になればなるほど、正しい情報を公開し、正しい情報に基づいた上でいろいろと議論・比較・検討されなければならないのは、今まで繰り返してきたとおりです。
 もちろん、このサイトで問題にしている「仙台東西線」の「機種」だって、正しい情報に基づいた上で、いかに「私たち市民の税金」を安く済ませてなおかつ「お客様」にとって便利な「毎日の足」に仕立て上げるか、を真剣になって考えなければなりません。財政が非常に苦しい仙台市ならばなおさらです。
 「東西線」の機種候補は、今「機種等検討会」に挙げられているのは8種類なのだそうです。この中から決める上では、どの機種も正確なデータに基づいて平等に比較・検討された上で、合理的根拠を持った上で初めて決定されなければなりません。「公明正大」は行政等公務員の大原則です。
 それだけ重い役目を背負っている「機種等検討会」なのですが、ここで、第1回「機種等検討会」が開かれて約8ヶ月もたってからやっと公表されたメンバーの方々のお名前をご紹介しましょう。「これからの仙台の舵取り役」と言える重要な役目をお持ちの方々は・・・
氏名(敬称略) 所属・役職 備考
@ 稲村 肇 東北大学教授 「機種等検討会」座長、
元運輸省の研究所
A 猪岡 光 東北大学教授  
B 徳永 幸之 東北大学助教授 元運輸省
C 高橋 秀道 仙台市都市整備局
総合交通政策部長
仙台市職員、元運輸省
D 斉藤 文伸 仙台市都市整備局総合交通政策部
東西線推進室長
仙台市職員
E 岩間 敏雄 仙台市交通局 高速電車部 仙台市職員
F 三輪 誠  日本鉄道建設公団 盛岡支社 同公団は運輸省の関連団体
G 伊藤 誠 運輸政策研究機構運輸政策研究所
企画室長
同研究所は運輸省の関連団体
東山 茂 東北運輸局企画部長 オブザーバー、運輸省の地方部局
※日刊建設工業新聞平成11年11月25日記事等より判明している情報を掲載
 以上メンバーの方々8人の他に、オブザーバーの方が1人いらっしゃいます。これらの方々が話し合った上で、「東西線」の機種を決定して行くのです。これからの仙台が決まる大事業「東西線」計画に、仙台市の財政難の中かかわっていらっしゃるみなさん、ご苦労様です・・・
 この「機種等検討会」は、言うまでもなく、「お客様」のための大事業「東西線」計画が成功するか失敗するかを決めるほど重要な会なのです。機種選びを間違えたら、「莫大なお金がかかった割に不便な足」となってしまう恐れが大きいからです。そうなったらどうなるかは、「推して知るべし」でしょう。
 ですから、メンバーの中には、行政から離れて「利用者側の立場」の人が少なからずいることがどうしても必要なのです。「利用者の立場に立た」なければ、「利用者に喜んで乗っていただける商品」にはなり得ませんし、「機種検討」の内容や報告の中立性を保つことも難しくなるからです。
 さて、この中に、そんな「利用者側の立場」の人はどれだけいらっしゃるのでしょうか? この方々の中から探して見ましょう。
 よく見てみますと、これら8人のメンバーの方々はつぎのような所属に分けることができます。
     
  • 東北大学の先生:3名(@AB)  
  • 仙台市都市整備局・交通局(当局職員):3名(CDE)  
  • 運輸省関連団体:2名(FG)
 つまり、この段階で、8人のうち過半数の5人が、運輸省関連団体または市当局の関係者、つまり行政側の立場の方々なのです。「オブザーバー」と言われているこの方も、運輸省の地方部局の方です。
 世間一般の常識では、「オブザーバー」とはただ会議を眺めているだけではなく、「会議の『監視役』」という意味もあります。「監視役」ですから、会議でもし間違った方向の話が出てくれば、自分の気付く範囲で最大限に、会議が正しい話の方向に向かうように意見する「大役」を背負うことになります。
 さてさて、同じ行政の立場にいるこの方は、果たして「監視役」という「大役」を無事務め果たすことができるでしょうか? 見モノですな。
 ということは、行政の立場から離れて私たち「利用者側の立場」に立ってくれそうな方は、残りは@〜Bの東北大学の先生方から探すしかありません。「学問の追究」を生業(なりわい)にしていらっしゃる先生方なら、期待が持てそうな気がするのですが・・・
 でも上の表を見てみますと、東北大学の先生のうち、@Bの2人の方は元運輸省関係の方なのです。つまり、行政側と何らかの形で関係がある方々なのです。座長である@の方も、市当局であるCの方も、今は運輸省関係ではないのですが、運輸省出身なのです。
 Eの方が所属する「仙台市交通局」は、仙台市営の地下鉄やバスを運行する部局ですが、電車やバスの運行の許認可などは運輸省が関わるので運輸省と無関係ではありません。また、Dの方は、Cの方の部下と言えるポストにいらっしゃいますので、Cの方の意向に強く左右されると考えられます。
 つまり、9人中8人、つまりほとんどは行政関係か元行政関係の方々で8人とも運輸省と何らかのつながりがある
 ということになります。つまり、このメンバーの方々の中で、行政の立場から完全に離れて「私たち利用者の立場」になってくれそうな「有力候補」の方は、Aの東北大学の先生だけ、と言えると思います。
 「機種等検討会」の座長の先生に申し上げます。今こうしてメンバーを一覧してみますと、運輸省・仙台市行政と何らかの関係があるかあった方々がほとんどです。私のような一市民が見ただけでも、メンバー構成が行政側にかなり偏っている、という感が否めません。
 「利用者の声」を「東西線」計画に充分に反映するためには、「機種等検討会」には行政側から完全に離れた立場で「利用者の立場」になってくれる方が少なからずいることが必要なのです。そうしなければ、「利用者の声」が充分に反映されている結論が本当に出されるのか、心配なのです。
 ところが、現在の「機種等検討会」のメンバー構成を見てみますと、それが叶っている状態であるとは、残念ながら言えません。「皆様の意見を充分に踏まえた結果(有力機種とされているリニア地下鉄に)決まりましたからもう替えられません」と言われても、このメンバー構成では納得できません。
 「人の先に立つ人」の集まりとして、「公正明大」を保つ「良い審判」であるためには、行政側から完全に離れていると思われるAの先生の存在に頼るしかないというのは、あまりにも心細い気がしてなりません。
 そんな中でも、その先生にお願いしたいのは、私たち「実際の利用者」の立場に立てるのでしたらぜひ「利用者の立場」に立った意見をバンバンぶつけていただきたい、ということです。行政関係の方が多くて大変とは思いますがよろしくお願いします。
 えっ?「運輸省って『平成10年度運輸白書』でLRTをほめているから、LRTに決まりそうでいいんじゃないの?」ですって。まあ、その理屈で行けばそういうことになると思いますが・・・
 でも、「杜の都」では、そう結論するにはちょっと怪しいことがあるんですよ。それは・・・




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