真の主役は「どシロウト」





 私は都市計画や交通問題に関する専門家ではありません。いわゆる「どシロウト」の一般市民です。

 本文の中には、専門家の方がご覧になれば正しくないことも言ってしまっている箇所があるかも知れません。その際はご教示いただければ幸いです。しかし、どシロウトはどシロウトなりの考えがあり言い分があるのです。

 みなさんここまでお読みになればもうお分かりと思いますが、「仙台東西線」などの公共交通事業は、私たちどシロウトの税金でつくり、私たちどシロウトが毎日使うもの、つまり、一見脇役のように見える「どシロウト」は、しつこく繰り返すようですが「株主」であり「お客様」なのです。
 どこの世界に、「株主」や「お客様」に「うちのやり方に口を出すな。ひっこめ」などと怒鳴る会社や店があるでしょうか。そんなことをしたら、株主総会で社長はクビ、店は客が付かなくなって倒産でしょう。
 真の主役は「株主」で「お客様」である私たち「どシロウト」一般市民です。 私たちは「真の主役」として、「東西線」はじめ公共交通整備に要望することはただ2つ・・・
 「百年の大計」と言える買い物をするのなら、私たちはトコトン便利なものが欲しい!!
 私たち「お客様」の立場に立って、計画者自分でも本心で使いたくなるようなものを「使う側の都合」で造って欲しい!!
 今のところ既得権構造の打破という難しい問題があるのは分かりますが、「あれもできない、これもダメだから」といって仙台市にこれ以上の地下鉄を造るのは、「贅金」をかけて利用者に「ガマンして使え」といっているようなモノのようにしか思えません!!
 悪口ではない、私たちはただ、便利な街に住みたいだけなのです!!
 このサイトを、一般の方には、「今はまだほとんど知られていなくとも、将来我が国の交通体系を大きく変えかねないほどの手段が世の中にはある」ということを知っていただきたく、行政関係の方にはLRTの是非に関する公開質問状とします。
 「え?そんなに簡単に規制がゆるんだり普及したりするのかなぁ?」ですって?
 それを言うのでしたら、携帯電話はどうなのでしょう? 郵政省が携帯電話の周波数の割り当てをちょっと変えただけで普及率は5年で10倍、あっという間に普及して、中高生だってたくさん持つようになりました。10年前は考えられなかったことです。
 また、私やみなさんが今使ってるこの「インターネット」だって、10年前、いや5年前でさえ、知っていた人はまれでしたでしょう。それが現在、あっという間に情報伝達の一主役に・・・
 これらのようなことが実際に身の回りにあるのです。LRTやそれを中心にした交通体系だって、携帯電話やインターネットのあとに続いて「爆発的普及」が起こる可能性だってあるのではないでしょうか。この3つはただ一つの共通点、「大きな利便性」をもっているのですから。
 だから、「知られていないから普及しない」ということは、単純には言えないのではないでしょうか?「流行の先陣を行く」くらいの気構えでないと・・・
 全国どこでも、「お客様」の立場に立ってこれからの交通網整備に取り組んで欲しいと思います。
 私たち「お客様」の「税金」で造って、「お客様」が毎日使うモノですから・・・
 公共事業のあり方が大きな問題として取り上げられている今、「仙台東西線」を含む公共事業に対して私たち市民や国民は無関心ではいられないでしょう。
 みなさんの中でどれだけの方がお気づきかは分かりませんが、「便利な街」になるかどうかの第一の大きな「分岐点」は、いまなのです。
 仙台市は「仙台東西線」について、平成12年3月に機種とルートを決めました。しかし、そう決めている根拠は、今までお話ししたとおり一市民の目から見ても納得できるものではありません。みなさんのご感想はいかがでしょうか?
 みなさん、もし、仙台市の今の決定が、今あなたの心の中で描いている「実際に使う『自分』」にとって魅力的と思う「理想の『仙台東西線』」とかけ離れているものであれば、あなたはどうなさるでしょうか?
 私たち市民にとって「いらないモノ」が、決して安くない税金かけてできてしまったら(しかも、建設費が上がったら負担はそれ以上になる)遅いのです。

 そうならないように、私たち市民は、ボヤボヤしてはいけません!!

 このサイトでは仙台市の例を挙げましたが、「都市交通問題」は仙台市だけの問題ではありません。  私だって、「LRTさえ造れば全てが解決する」なんて決して思ってはいません
 このサイトでは、中〜大都市ではクルマを中心に街づくりを考えることの問題点、それを改善させる公共交通の一手段としてのLRTの「良さ」をお話ししてきました。
 でも、ここまでお読みになった方の中には「LRTっていうのはいつも一番良い手段だ、って言いたいの?」とお思いの方もいらっしゃるかも知れません。しかし、私はそんなことは決して言っていません。
 ここで紹介したLRT等路面電車をはじめ、地下鉄、モノレール・新交通システム、バス、クルマ、自転車等の交通手段は、それぞれに利点も欠点もあります。「どのようにより良い交通の形を造っていくか」ということを考えるには、これら交通手段の特徴を正しく理解し、お互いの欠点を補い合うような形に造り上げていく必要があると思います。
 私が思うに、これら交通手段の中で、我が国の社会で一番理解されていないと思われる交通手段はLRT等路面電車ではないのでしょうか?LRT等路面電車については少しづつ理解が進んでいるものの、その一方で「遅い、うるさい、クルマのジャマだ・・・」という「LRTに対する誤解」も、依然として多く聞かれます。
 そんな「誤解」を少しでも解きたいと思い、このサイトを運営しています。御感想はいかがでしたでしょう。どんなものも「万能」とはいきません。LRTだって同じです。でも、クルマだって「万能」ではありません
しかし、LRTが活躍できる状況は我が国にも決して少なくないはずなのに、クルマの利用を中心とした都市交通整備は限界に来ているのに、それらに気付いている人はまだまだ少ないと思います。
 「都市交通問題」は、繰り返しますが私たちの「毎日の足」の問題なのです。この問題について、もっと広く議論されるべきではないでしょうか?
 少なくとも中〜大都市では、「人に優しい街」「環境に優しい街」を造るには、「クルマ中心(優位)」の発想で街づくりを考えていくのはもう限界だと言うことを、ひとりでも多くの人に悟って欲しいと思います。
 ヨーロッパ、いや「クルマ社会」の米国でさえ、こんなことはもう十数年以上も前から「常識」になっているのです。「先進国」を自負する我が国ニッポンの、この「常識」すら知られていない「体たらく」の現状を、憂わないわけには行きません。
 この「常識」を胸に秘め、私たちみんなが本当に「人に優しい街だ」と実感できるような街を私たちが手にするために、これからの「街づくり」の動きに私たちは深い関心を持ち、場合によっては「声をあげる」ことも必要でしょう。
 私たち自身、そして私たちの子孫のため・・・
 青葉山公園(仙台城跡)から眺めた仙台市中心部(左)と、それを見つめ続けている伊達政宗の像(右)。

 彼は仙台藩62万石を擁し、仙台の「街づくり」の基礎を築いたことはご存知と思う。その仙台は、現在は立派に発展しているが、その反面、都市の「血管」である交通問題も大きい。「クルマ中心」で今まで来た結果がいろいろな弊害となって久しくなっており、その様相は「交通戦国絵巻」さながらと言えよう。戦国の世を生きた彼だが、現代の「交通戦国絵巻」を見ていてどう思っているのだろうか。

 都市交通を考える上で、「クルマを『中心に』据えて考えることは限界」ということは、欧米ではとうの昔から常識となっている。「クルマ中心主義による弊害」を解決する手段として、欧米のかなりの都市でLRTが導入されており、現在でも「増殖」している。

 我が国でも、「脱クルマ中心社会」を解決するひとつの手段としてのLRTの「良さ」は少しづつではあるが認識されつつある。LRTは我が国の多くの都市でも、使いようによって「人」が「クルマよりも便利」と思うシステムに充分育つと思う。

 「クルマよりも人」という「信念」がなければこのシステムには取っつきにくい、という方もいらっしゃるかと思う。でもその「信念」は、LRTだけでなくどんなシステムを造って行くにしても絶対に忘れてはいけないと思う。これを忘れたら、人はクルマから離れようとせず、「クルマ中心」の弊害が街に居座り続け、「真に生きている街」の実現は遠のいてしまうだろう。

 今まで我が国の中〜大都市でも、「クルマ」に「仁」をかけ過ぎるとも言える交通施策を主に行い、私たち市民もそんな傾向の思想を持ってきたが、今までの流れを見るとそれは解決になっていない、と言わざるを得ない。「クルマ中心」でいる限りは、クルマに対して「弱く」しか出られない。それでは現代の「交通戦国絵巻」状態は少しも改善の方向に行くことはないだろう。
「仁に過ぐれば弱くなる」といったところか。

 「真に生きている街」にするには、今までの「クルマ中心」の考え方ではもう限界だ、ということを、ひとりでも多くの方に悟っていただければ、と思う。みんながそのことに早く気づいて、どうすれば真に「人」にとって優しい街ができるかを真剣になって考え、議論し、造り、そして次の世代に渡してあげることが、今ここに生きる私たち一人一人が背負う責務であると思う。都市交通問題に関しては、「人」には「仁に過ぎても過ぐる」ことはないと思う。

 この街が今後どうなっていくのか、彼の像はこれからもずっと見守っていくことだろう。

写真:青葉山公園で撮影

 ・・・もう長くなってしまいました。今回はこのくらいにしましょう。次回アップデートの日をお楽しみに!!
 いつかは、このサイトを「私たち杜の都は日本一動きやすい街になり市民みんなに大評判! 全国の皆さん、うらやましいだろう?」の言葉で埋めてみたいものです。それが私の夢です。
 少なくとも今の「リニア地下鉄案」では、それは叶わぬ夢ですが・・・




 ここで、「ご乗車ありがとうございました」と言いたいところですが、私たち一般市民の「真の『人に優しい街』」行きの旅は、これからまだまだ続くのです・・・
 みなさんどうか、「お乗り遅れ」や「途中下車」、そして「お乗り間違え」をされませんように・・・



 Special Thanks

 このサイトの開設に際し、仙台高速市電研究会の佐藤 茂さん、写真を貸して下さったりこちらからの問い合わせに対してたくさんのデータを提供して下さったり・・・ いろいろありがとうございます。

 「グリーンムーバー」の写真を提供して下さった元山 康夫さん、本当にありがとうございます。

 これからも、私たち一般市民の「真の『人に優しい街』」行きの旅を続けましょう。




 ・・・みなさんいかがでしたでしょうか。ここまでお読みになるといろいろな感想・ご意見をお持ちのことと思います。ぜひその「胸の内」を聞かせて下さい。
  • 「うん、あなたの言うことはもっともだ」という賛成の声
  • 「読んではみたけどここがよく分からなかったから教えて」という疑問・質問
  • 「あなたの言うことはここが違う。私はこう思う」という異論・反論
 みーんな大歓迎です。ただし、「誹謗中傷」は絶対お断りです。異論・反論は話の筋道を立てて行いましょう。このサイトにいらした方はみなさん良識派で、紳士淑女として良識を疑われるような「誹謗中傷」をするような人はひとりもいないと私は信じています。
 なお、立場の都合上や職場のPCからアクセスしているため返事を書かれるのが不都合、という方はメールにその旨をお書き下さい。その際はこちらから返事は致しません。
あなたの声をどしどしこちらまでくださーいっ!
 当サイトで扱った「都市交通問題」は、深刻であるにもかかわらずその深刻さを理解していない人がたくさんいます。「クルマ中心社会はあたりまえ」という「洗脳」から離れようとしない人もたくさんいます。みなさんの周りにはいらっしゃらないでしょうか? ひとりでも多くこの深刻さ・「クルマ中心社会」の矛盾を理解し、議論してほしいのです。
 この趣旨に賛同される方にお願いですが、このサイトをひとりでも多くの人に紹介下されば幸いです。(ただし賞品・報酬等は一切お出ししませんが・・・) ^_^; もちろん、紹介する・しないはみなさんの自由です。
 なお、商用目的でこのサイトの紹介・配布等を無断で行うことは著作権法で禁止されています。あくまで「ボランティア」でお願いいたします。
 よろしくお願いいたします。

著者:高井 憲司




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