「ちゃんと」おしえてっ!!





 ・・・と質問状をお出しして、「いつ来るのかなぁ・・・」といいながら待っていると、やっと来ました!平成11年10月9日に、我が家のポストに「お返事」が入っていました。
 その「お返事」を見てみますと、表紙には仙台市長さんのお名前が印刷で入っていて、「日頃、仙台市政にお力添えをいただき誠にありがとうございます・・・」ではじまる、「別紙のとおり回答を申し上げます」旨の文章が書いてあります。
 「仙台市政にお力添えをいただき誠にありがとうございます」・・・ 「いえいえ、どういたしまして」などとつぶやきながら表紙を見てみると、最後には・・・
 「今後とも、市政に関してお気づきの点がございましたらお聞かせくださいますとともに、仙台市政発展のため一層のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 で締めくくっています。わっかりました! 私も仙台市民の端くれです。「東西線計画」という「市政」に関して「お気づきの点」がヤマほどございますのでお聞かせすることにしましょう! それで、「仙台市政発展のため」微力ながら協力させていただきましょう!・・・
 「東西線」に関する質問状を仙台市「まちづくり提案制度」に則って仙台市長さん宛にお出ししたところ、「返事」が返ってきた。

 市民と市長さんをつないでいるはずの「まちづくり提案制度」で、「大プロジェクト」である「仙台東西線」計画についてどれだけ答えているのか、お手並み拝見と行きましょう。

 と言いながら本文をめくってみると、その文章を作成なされた方は、「東西線」担当部署である都市整備局総合交通政策部東西線推進室(以下「推進室」と略)長さんになっています。あれれぇ、「東西線」担当部署の方がお答え下さらないことが多いから市長さんにわざわざお訊きしたのに、なんでまた・・・?
 それでもそんな気持ちをグッとこらえて、私の質問に対するお答えを読んでみました。前の項でお話しした質問はじめ、私が持つ疑問・質問にどれだけお答えになっているか、これからみなさんと一緒に見ていきましょう。
 まず建設費についてです。世間では「建設費が安い」と言われているリニア地下鉄でさえ最近は300億円/km以上と、仙台市が公表している価格(約190億円/km)より相当高額になっている前例があるのに、なぜ「東西線」では安く建設できるのか、という質問に対しては・・・
 「地下鉄南北線や他都市の事業費実績などを参考に平成8年度価格で試算した2410億円をベースとし、さらに現在想定している工事期間に対応した物価上昇率等を加味した
 というお答えでした。仙台地下鉄南北線は昭和62年に開業しましたが、その時の建設価格は約176億円/kmと、最近の相場より大分安めでした。
 ところが、その後の地下鉄の建設費の実例を見ると、年がたつごとに上昇している傾向があり、最近では、先にお話ししたとおり、300〜340億円/kmベースにまで膨れ上がっているケースすらあるくらいです。
 それにもかかわらず、建設費が最近の相場よりも大分安かった時期の価格を基準にして現在の建設費を見積もることは、はたして正しいのでしょうか?
 いざ工事が始まって、「建設費が実は、予想よりもかなり上がってしまって・・・」などと後で言っても、「それは当たり前でしょ。建設がずっと安かった時代を基準に計算したんだから・・・」と市民の間で言われることになるのではないでしょうか?
 このことについて、市長さんはどのようにお考えになっているのか、そして、なぜ「東西線」は前例のリニア地下鉄よりも大分安くできるのかをもう一度、お訊きしてみましょう。
 次に、「東西線」計画で機種と同じように大きな問題となっている、ルート案についてお話ししてみたいと思います。言うまでもなく、路線が大多数の「お客様」にとって便利なモノでなければ、乗ってくれる人はグンと少なくなってしまいます。「東西線」計画では、この点ではどうでしょう。
 仙台市の航空写真。「仙台東西線」の路線として候補に挙がっているのは上の黄色い線。JR線は緑・青線で貨物線は橙線。

 「東西線」計画では、ルート案についても多くの問題点が指摘されている。それにも関わらず、仙台市側は、「様々な都市機能の連携を高める」ためとして、変更の考えは無いとのこと。

 言うまでもなく、この計画によってできあがった「街の装置」を実際に使うのも、これを造るための莫大な経費を税金で支えているのも、「声の主」である私たち市民である。「様々な都市機能の連携を高める」ためならば、その「市民の声」を無視することが正当化できるのだろうか?

 この事業を預かる市担当者の方々は、「だれのための計画」なのかという最も本質的な点でさえ、どれだけ頭に入れた上で進めているのか、現状を見ると大きな疑問を抱かざるを得ない。

 写真出典:「仙台市政だより」1998年11月号 P4〜5 より抜粋し、一部を加工

 上の航空写真はこのサイトで何度か出てきましたが、「東西線」計画の仙台市側のルート案で、黄色い線で示されています。仙台駅の東西の「鉄道空白地域」を通っていて一見合理的に見えるのですが、このルート案については、次のような問題点が考えられ、これら問題点を指摘する声も少なくありません。ざっと挙げますと・・・
 
     
  1. 人口密度の低い地域をわざわざ通過させている。(仙台駅東側の「卸町地域」など)

     

  2. リニア地下鉄はJR線と乗り入れができないので、JR線(仙石線)の乗客がその西側の延長線にある大通り(青葉通り)沿線に行くのに、仙台駅で一旦降りてなおかつ長い距離を歩いて乗り換えさせることになり極めて不便。

     

  3. 仙台駅西側の東北大学(上の写真の「青葉山地域」内にあります)や「八木山地域」でも地形の関係で駅まで歩いて利用できる人は極めて限られる。特に「八木山地域」の終点は、地形上地域の「頂上」であり極めて使いにくい。バス連絡するにも、乗り換え駅でわざわざ長い距離を歩かせている。

     

  4. このルートはジグザグが多く、例えリニア地下鉄にしたとしてもスピードが出せないため、駅での乗り降りの時間を考え合わせると、極めて不便な路線になる。

     

  5. 「青葉山地域」と「八木山地域」の間には緑豊かな渓谷がある。リニア地下鉄の「リアクションプレート」は、雪など異物に弱いので、渓谷を渡すときにはドームなどで覆う必要がある。渓谷の景観の問題。
 現在の段階ですでに、このルート案に対してこれら問題点が指摘されています。それに上の写真をもう一度よくご覧下さい。仙台駅のすぐ南東側(写真の右下側)では、ルートはJR線のすぐそばを、階段のようにジグザグに通っています。
 リニア地下鉄でこのルートを造るとなると、当然多くの建設費がかかることになるでしょう。それに、工事期間も年単位でかかることになるでしょう。こんなルートにするのなら・・・
JR線に駅を造った方が安上がりで合理的
 なのではないでしょうか? なぜこんなジグザグで面倒なルートがベストと言えるのか、一利用者として納得が行かないのですが・・・
 と、長々と「東西線」計画のルートについての問題点をお話ししましたが、シロウト目に見ただけでもこれだけ多くの疑問があるルート案にしている理由として、市側は・・・
 「学術研究機能や中枢業務、商工業、文化、流通機能など沿線にかかる様々な機能の連携を高めるため
 としています。それに、ルート案については今お話ししたように多くの問題点が指摘されていますが、それでも市側は「改める気は無い」とのことです。ということは・・・
 いろんな都市機能を1本のレールでつなぎさえすれば、「お客様」「納税者」の声なんかどうでもいい
 と言っているのと同じではないでしょうか? 「東西線」のような鉄道計画はだれのためにあるのか、という最も本質的な点に立ち返って考えれば、市側のこの姿勢は正しいと言えるのでしょうか?どうでしょう? みなさん。
 それに、上の2つの質問に対する回答はいずれも、市側が出している資料に書かれている文章とほぼ同じです。それらを見ても疑問に思うからこそ、わざわざ市長さんにお伺いしたのに、同じような答えを繰り返されても納得できません。
 以上の「建設費」や「ルート案」に関する疑問に対する回答とほぼ同様の文章は、市側が配布しているこれら資料にも記載されている。

 これらの資料を見ても分からないことが多いからこそわざわざ市長さんにお伺いしたのに、市長さんでもない方がこれら資料と同じようなことをオウム返しのような答え方をされたってねェ・・・

 「東西線」の今のルート案についていろいろな疑問の声があるのに、本来は「お客様」のためにある「東西線」計画が、これら利用者の声がほとんど反映されずに進められている現状ってヘンだと思いませんか?
 市長御自身、市政の最高責任者として、それより前に私たち市民により選ばれた「市民の代表」として、市側のこの姿勢についていかがお考えなのでしょうか?そして、今のルートについて利用者からいろいろな問題点が言われながらも、それでも採算上ベストとしている具体的かつ論理的な「根拠」は何か、もう一度お訊きしてみましょう。
 つぎは、私たち「お客様」にとって一番気になる利用運賃についての質問に対して、市側の答えは・・・
「現在の南北線と同じ運賃体系としており、地下鉄南北線とは通算運賃としている」
 とありました。ふーーん、今の地下鉄南北線と同じ運賃「体系」で、運賃は南北線と別々に取ったりはしないんだな。そーーかぁ・・・
 でも、ちょっと待って下さい。「南北線と同じ運賃『体系』」って、「乗った距離に応じて運賃が上がっていく」という運賃「体系」のことを言っているんですけど、運賃「金額」については何一つ触れていないんです。
 それに、パート2で触れたとおり、「『東西線』の1日の利用者数が予想通りとしても、南北線の運賃では採算がとれない」という「高研」の試算があります。つまり、採算がとれるように南北線の運賃より高めに設定している可能性が高いのです。
 ということは、やはり・・・
市「東西線」開業後は南北線まで値上げ
 となる恐れも充分に考えられるのではないでしょうか?今でさえ「割高感」を感じる南北線の運賃、さらに上がったらどうなるでしょう? 今の南北線の足まで引っぱることになるのは、避けられないでしょう。
 それに、採算性だって「つみ木の家」並みの脆さという試算だってあるのに・・・ 市「東西線」に数千億円もの「私たち市民の税金」を遣っておきながらいざ営業を始めたらもうけ具合が「つみ木の家」のように崩れてしまったのでは、私たち市民は泣くに泣けません。
→復習される方は「「リニア地下鉄東西線」は「つみ木の家」??」へどうぞ。このページに戻るには、ブラウザの「戻る」ボタンをクリックして下さい。
 運賃「金額」の公開は、私たち「お客様」にその運賃額の設定が正しいかどうかを判断してもらうのに絶対に必要であるのは、言うまでもありません。それなのに、「お客様」にとって最も基本的な情報の一つである利用運賃すら公開しようとしない現状は、ルート案の問題と同じくらいの大問題だと思います。
 市長御自身は、この現状に対していかがお考えなのかを、そして、はっきりと解りやすい形で設定運賃「金額」をお訊きすることにしましょう。それに、市側が「東西線」が採算がとれると言っていることは、「高研報告書」をひっくり返せるだけの根拠があるということになります。それは何か、もついでにお訊きしましょう。
 次に、「東西線」への導入機種としてLRTが、実際の利用者にとっての利便性・予想需要はじめ諸条件・建設費の面から考えてベストなのではないか、と提案したのですが・・・




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